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2025年1月22日(水)中性紙封筒と二つ折りフォルダーの活用法-恵泉女学園史料室様の資料保存実践例-

中性紙封筒は、資料を安全に保管するために欠かせないアイテムのひとつです。特に、紙質が弱く破損しやすい一枚物の資料や薄い冊子などを保護するのに適しています。

 

一方で、中性紙封筒には開口部の開きに制限があり、資料を出し入れする際に封筒の内側で引っかかり、資料を傷めてしまうことがあります。この課題を解決するためにL字開口や長辺開口の封筒がありますが、これらは通常の中性紙封筒に比べて価格が高く、すべての資料に適しているわけではないことから、短辺開口の封筒を利用しているケースが多いようです。

 

そこで弊社では、通常の中性紙封筒と組み合わせて使える「二つ折りフォルダー」の使用をおすすめしています。以下にお客様の活用事例をご紹介します。

 

恵泉女学園史料室様では、創立者・河井 道(かわい みち)に関する資料をはじめ、学園に関係する資料を調査、収集、整理、保管し、学内外の教育・研究に活用しています。所蔵資料は革製の鞄や衣服、机などのモノ資料から、簿冊、ノート、日記、学内新聞、一枚物などの紙資料まで多岐にわたり、紙資料の多くは中性紙封筒に収納されています。近年、経年劣化や酸性化、利用による破損が顕著なため、状態が悪化したものや損傷リスクの高いものを優先して修復処置を進めています。

 

今回ご紹介する資料は、B4サイズの両面印刷文書11枚で構成されています。綴じられておらず、まとめて中性紙封筒に収納されていましたが、酸性化により周縁部の破損や折り目での破断が見られ、取り扱いが困難な状態でした。そのため、薄い和紙を使用して両面から裏打ちを行い、補強する修復処置を施しました。修復後は、資料を「二つ折りフォルダー」(AFプロテクトH 104.7g/㎡)に挟み、その状態で元の中性紙封筒に収納しました。この方法により、既存の封筒を活用しつつ、資料の出し入れ時の破損リスクを低減することができました。お客様からも「取り扱いが非常に安全になった」と好評をいただいています。

 

「二つ折りフォルダー」は、収納する資料に応じてお選びいただける4種類の厚みや仕様をご用意しております。また、定型サイズに加え、さまざまな資料サイズに対応可能なカスタムサイズの製作も承っております。幅広い用途に対応できるフォルダーとして、ぜひご利用ください。

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