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今日の工房
週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。
2024年12月11日(水)染織品の保管用に、綿布マウントとウィンドウマットを製作しました。
染織品は柔らかく脆弱なため、折り畳まず平らな状態で保管することが理想です。特に、劣化が進んだ小さな染織品や断片化した更紗などは、形状に合わせた枠を作り、できるだけ動かさず現状を維持して保管する必要があります。そのため、慎重に素材を選定し、安全に扱える容器で保管することが重要です。
今回製作した綿布マウントは、染織品を安全に支えるため、硬く厚みのあるマット紙を使用しています。ただし、マット紙は表面が平滑で滑りやすいため、表面に綿布を貼り付け、布の摩擦で滑りにくくしています。
ウィンドウマットは、所蔵者の要望に応じて観察や展示の利便性を考慮し、帯電防止加工を施した柔らかいフィルムを使用し、染織品と同じ厚みのマットで挟み込む構造にしています。この構造により、圧力をかけずに染織品全体を保護できます。
これらの保管用品は、重ねた状態でポリプロピレン袋に収納し、展示や作品調査の際の取り扱いにも配慮された設計になっています。
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『今日の工房』
・2014年05月16日(金)染織品を中性紙管に巻いたまま収納するための箱
・2023年6月13日(火)中性紙製紙管による大型作品のローリング(巻き取り)保管について
・2020年10月23日(金)絨毯を保管する大型の保存箱を製作しました。
2024年11月14日(木) 2024年度 東京造形大学附属美術館様 博物館実習の一環として見学会を行いました。
東京造形大学附属美術館では、桑澤洋子関連資料や小野かおる関連資料をはじめとする多数の資料を所蔵し、授業や展示に活用しています。これらの資料群は、これまで株式会社紀伊國屋書店によるプロデュースのもと一貫した資料の保存整理と電子化事業が進められてきました。弊社は紀伊國屋書店との業務提携において、資料の保存整理作業や修復、電子化前後の処置を担当しています。
昨年に引き続き、博物館実習の一環として、東京造形大学で学芸員課程を学ぶ学生の皆様が紀伊國屋書店のアテンドのもと、各提携先を訪問し、専門業務を間近で見学しました。株式会社インフォマージュでは電子化の工程を、弊社では保存容器の製作と紙資料の修復現場をご覧いただきました。今年度は、見学に加えて、資料に触れて作業を体験するプログラムも取り入れました。
保存容器製作部門では、異なる形態の資料を採寸し、切り出されたボードを組み立て、資料を収納しました。弊社オリジナルの採寸道具の工夫や、アーカイバルボードを折る際の手ごたえ、そして資料がぴったりと収まるオーダーメイド保存箱の収納具合を実感していただきました。
修理部門では、処置中の修復作業の解説とともに、劣化資料の実物として明治、大正、昭和の各年代の雑誌資料のサンプルを手に取り、時代ごとに異なる紙の質感や経年による劣化、金属の腐食状態をご覧いただきました。また、「手のとどく保存技術の実際」として、私たちが日頃の修復作業に使用している道具や材料を用い、金属綴じの冊子を糸で綴じ直す工程の体験実習を行いました。こうした作業を通して、近現代の紙資料の修復方法を学び、保存と取り扱いやすさを両立させる技術の一端に触れていただけたかと思います。
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『今日の工房』
・2024年1月29日(月)2023年度 東京造形大学附属美術館様 博物館実習の一環で見学会を行いました
・2019年11月7日(木)東京造形大学附属美術館様の所蔵品、絵本作家小野かおるの立体作品の保存箱を製作しました
2024年11月1日(金)新しいアーカイバル用品の写真撮影を行いました。
弊社では、新たにアーカイバル用品のラインナップに追加する商品を中心に、全20カットの撮影を2日間かけて実施しました。今回の撮影も、美術展の記録写真や図録撮影など、美術作品の撮影を専門に活動されているフォトグラファー・加藤健さんにご協力いただきました。
撮影にあたっては、見た目の美しさだけでなく、それぞれの商品の用途や構造が一目で伝わることを重視し、お客様が商品選びの際に必要な情報を直感的に理解できる写真を目指しました。加藤さんと弊社スタッフがアイデアを出し合い、商品の品質、機能性、実用性が視覚的に伝わるよう工夫を凝らしています。
撮影場所には、普段は保存容器の製作に使用している作業スペースを活用し、特設の撮影台を設置しました。これにより、大型から中型、小型まで、さまざまなサイズの商品を1枚の写真に効果的に収めることができました。さらに、撮影台の配置や照明の調整にも細心の注意を払い、各商品の質感や特徴が際立つよう工夫しています。加藤さんの専門的な視点と撮影技術のおかげで、商品の魅力を最大限に引き出すことができました。
現在、撮影した画像は順次ホームページに掲載しています。また、新商品の詳細や実際の使用シーンについても、近日中にご紹介する予定です。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。
今後とも弊社の製品とサービスにご期待いただき、引き続きのご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
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今日の工房 2018年5月30日(水)
2024年10月15日(月)日本基督教団滝野川教会様の大型英語聖書 修復と保存の記録
東京都北区にある日本基督教団滝野川教会様より、大型英語聖書の修復依頼をいただきました。滝野川教会は明治37年に創立され、今年で120周年を迎える歴史ある教会です。
今回修復したのは、1708年にロンドンで刊行された聖書で、縦420mm、横275mm、厚さ104mmの大型で重量のある資料です。この聖書は総革装で背バンド綴じの製本がされており、見返しにはマーブル紙が使用されています。表紙の芯材には木が使われ、表面の革には空押し模様や金属装飾が施されています。金属装飾は表裏表紙の四隅と中央に施されていましたが、現在では表表紙の四隅と裏表紙の背側にのみ装飾が残り、他の部分は欠けています。
状態としては、表裏表紙と本体はしっかり接合されていますが、ジョイント部分の革が擦り切れて麻ひもが見えている状態でした。背表紙の上下の革は欠損しており、過去の修理で使用された製本クロスが露出していました。また、経年劣化により、背表紙が本体の背から部分的に剥がれていました。本体では、表裏表紙付近の綴じ糸が緩み、折丁が外れかかっている箇所もありました。
修復処置は、まず背表紙を一旦剥がし、過去の修理で使用されたクロスと背固め膠を除去しました。その後、薄い和紙(楮 10g/㎡)で背を補強し、緩んだ綴じ糸や外れかかっている折丁を、補強した支持体に絡めて綴じ直しました。さらに、和紙と寒冷紗を貼り重ねて背を固め、元のタイトバック構造[※1]からホローバック構造[※2]へと変更しました。これにより、背表紙と本体が直接接着されず、開いたときの背表紙への負担を緩和し、本体の背は柔軟に動くようになりました。欠けていた革の部分は染色した和紙で補修し、全体に保革処置を施しました。
最後に、修復した聖書は「台差し箱」に収納しました。この保存容器は、重い資料を安全に保護するために底板を補強し、緩衝材となるプラスタゾートを貼り、金属装飾の部分が当たらないように工夫されています。また、出し入れがしやすいように、長辺側にフラップを設けました。
※1 背表紙の内側と本体の背が接着されている構造
※2 背表紙の内側と本体の背が接着されておらず、本を開いた状態のときに、背表紙の内側に空洞ができる構造
2024年9月27日(金)保存科学研究室の学生へ向けて資料保存に関する研修を行いました
この夏、東京学芸大学の学生2名が短期アルバイトとして研修に来ていました。両名は保存科学研究室に所属しており、紙の保存修復の現場で学生に実務を経験させたい、という同研究室からのお声がけにより、採用試験を経て、10日間の研修プログラムを実施しました。保存科学研究がどのように現場で活用されているか、資料保存の考え方や修復技術を支える基礎が、経験だけではなく自然科学的な知見にあることを是非知って体感してもらえたらという思いで、それぞれの部門のスタッフが研修を担当しました。
研修内容を一部紹介します。
<ペーパーコンサベーション>
・近現代紙資料の劣化、損傷の特徴について
・新聞、手書き原稿のサンプル資料を使った保存修復処置(観察・調査、カルテの作成、処置方針の策定、洗浄、水性脱酸性化処置、非水性脱酸性化処置、修補、エンキャプシュレーション)
・青写真(シアノタイプ)のサンプル作成、感光材料を用いた紙資料の保存について
・和装本の保存修復処置(手繕いによる本紙虫損箇所の修補、四つ目綴じ直し)
<ブックコンサベーション>
・書籍の劣化、損傷の特徴について
・リンプ製本のサンプル作成、歴史と構造の特徴について
・図書資料の電子化、それに伴う解体と綴じ直しについて
<アーカイバル容器>
・紙製保存容器に求められる品質、容器設計について
・サンプル資料の採寸、アーカイバル容器のデザイン、作図、アーカイバルボードの切り出し、組立て
<文献整理>
・当社の文献コレクションについて、未登録文献の登録作業
・文化財保存に関する情報の収集と検索、国外の保存修復機関と刊行誌について
2024年8月30日(金)保存箱内でアートソーブを安全に収納できるスリーブケースを製作しました
アートソーブは美術品専用のシリカゲル調湿保存剤です。これは、空調が届かない場所や、空調とは異なる湿度設定にしたい場合に使用され、特に気密性の高い空間で湿度変化を緩やかに抑えることができます。
今回、アートソーブのカセットタイプ(中性紙箱入りで、展示ケースや保管箱、輸送梱包などへの設置・交換が容易なタイプ)を保存箱内に組み込み、作品を立てた状態で保管したいという依頼を受けました。作品は1300×1600㎜と大きく、厚みも120㎜あるため、箱からの出し入れがしにくくなる問題がありました。そこで、作品を取り出しやすくし、同時にアートソーブを備える空間を設けるために、箱内の四方側面にスペーサーをつけました。このスペーサーにより、作品を取り出しやすい空間が生まれ、その空間を利用したスリーブケースを設計しました。このスリーブケースは箱内で動かないように固定できる構造になっており、アートソーブの交換が必要な時に取り外しも簡単にできるよう、指かけや側面に孔を設けています。また、シリカゲルと空気との接触面積が大きくなるように設計されています。アートソーブカセットタイプのレギュラーサイズは1個750gと重いため、作品の上部に設置すると落下の危険性があり、箱内の下部に等間隔で設置することにしました。
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・2021年6月18日(金)重量のある額縁に入った絵画を収納する保存箱を製作しました。
・2018年12月26日(水)全長4メートルの大型保存箱を製作しました。
【関連商品】
・台差し箱
2024年8月6日(火)会社設立25周年のご挨拶
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
資料保存器材はこの度、おかげさまで設立25周年を迎えました。これもひとえに、みなさまのご支援とご愛顧の賜物と、心より感謝申し上げます。
この節目の年を機に、社員一同、より一層の努力を重ね、皆様のご期待に応えられるよう、さらなるサービスの向上と新たな価値の創造に努めてまいります。
今後とも変わらぬご支援とご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
令和6年吉日
株式会社資料保存器材
代表取締役 島田要
日頃のご愛顧に感謝の気持ちを込めて、特別な夏向けのノベルティグッズを製作いたしましたので、ここにご紹介いたします。これまで夏季にお配りしていた手拭いは、旬の食べ物や季節感あふれるデザインが特徴でした。今年の夏は、弊社の25周年を記念して特別なロゴをあしらったアニバーサリー仕様となっており、私たちが業務で使う道具や保存容器、工房での作業風景をモチーフにハンカチと挨拶状をデザインしました。初めて登場するキャラクターたちが楽しく働く愛らしい姿にもご注目ください。
暑中お見舞いをかねて、順次みなさまへお届けする予定です。どうぞご期待ください。
2024年7月23日(火)第46回文化財の虫菌害・保存対策研修会の機器展示に出展しました
公益財団法人文化財虫菌害研究所が主催する「第46回文化財の虫菌害・保存対策研修会」が、7月9日(火)と10日(水)の2日間、飯田橋レインボービルで開催されました。今年度は、文化財燻蒸剤の動向、能登半島地震で被災した文化財の対応状況、各施設の虫菌害防除の取り組みなど、6つの講義が行われました。
研修会には、「文化財IPMコーディネーター」資格を持つ方や資格更新者、取得希望者、文化財を保存管理する博物館・美術館・図書館等の担当者など、文化財の生物被害防除業務に携わる方々を中心に、定員を上回る100名以上が参加しました。
長らくコロナで中止していた研修会と機器展示は昨年度から再開され、弊社も昨年に続き出展いたしました。弊社ブースでは、無酸素パック「Moldenybe®モルデナイベ」、汚染ガス吸着シート「GasQ®ガスキュウ」、新薄葉紙「Qulmin™くるみん」、空気清浄機付「ドライクリーニングボックス」、アーカイバル容器を展示しました。
ご来場いただいた受講者の方々からは、弊社製品に関する質問のほか、自館で実施する燻蒸処理の補助や代替手段として無酸素パック「Moldenybe🄬モルデナイベ」の実績や使用方法についてのご相談をいただき、事例を交えながら運用方法を紹介しました。また、館内クリーニングの需要も高く、今年2月に終売した空気清浄機付「ドライクリーニングボックス」の販売再開を求める声も多くいただきました。
弊社ブースにお立ち寄りくださった方々に心より御礼申し上げます。
2024年7月5日(金)新薄葉紙 「Qluminくるみん」(1100×800㎜)30枚包装品を発売いたします
発売よりご愛顧いただいております新薄葉紙「Qluminくるみん」(1100×800㎜)につきまして、このほど500枚包装品に加え、30枚包装品を発売開始することとなりました。
これまで、1100×800㎜の平版は500枚包装品のみ販売しておりましたが、「少量で購入したい」、「費用を抑えたい」、「ロール品を自分でカットする手間を省きたい」など弊社にお寄せいただいた貴重なご意見を反映いたしました。また、紙管に巻いた状態でご納品いたしますので、省スペースで保管いただけます。
お試し利用にも適しておりますのでせひご活用ください。
新薄葉紙 「Qluminくるみん」 800mm×1,100mm 30枚包装品(紙管巻き)1本 価格:12,100円
※税込。別途輸送費を申し受けます。
2024年5月30日(木)大判パネル作品を収納する薄型シンク容器のご紹介
現代の美術作品には、アルミプレートにプリントされた写真や樹脂板に描かれた絵画など、支持体に数ミリの極めて薄いパネルが使用されることがあります。特に大判サイズの作品を縦置きで保管できる、薄型で省スペースの容器を新たに考案・製作しました。
通常、額装写真やキャンバス画の保管用には差し込み箱や台差し箱をご案内していますが、これらの箱型容器は構造上、厚みを3cm以下にすることが難しく、今回のような厚みが1cm未満の薄い作品を収納する場合には、内部に緩衝材や固定用の部材を組み込む必要があります。そのため、容器の外寸が元の作品よりも大幅に厚くなってしまいます。
今回製作した容器は、厚みを極力抑えるために、容器の周囲に5mm厚の枠を取り付け、その中に作品を収納するシンク構造にしました。本体と蓋はボードを2重に貼り合わせたシンプルな構造ですが、ボアテープの留め具でしっかりと密着・固定されるため、強度が増し、持ち運びの際もたわむことなく安全に作品を扱うことができます。
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・2020年1月29日(水) 東京造形大学附属美術館様の所蔵品、写真家高梨豊氏の作品を保存箱に収納しました。
・2017年4月5日(水)大きな額装作品を縦置きで保管する、留め具付きの台差し箱
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・差し込み箱
・台差し箱
2024年4月10日(水)藤沢市文書館様所蔵 芥川龍之介直筆ノートの修復
藤沢市文書館には、芥川龍之介の直筆の手帳や東大在学中のノート、草稿の断片、はがきなどの資料565点が所蔵されています。それらは、芥川の甥の葛巻義敏氏とその妹である葛巻左登子氏によって旧蔵され、同市の市民団体「鵠沼を語る会」の多大なるご協力のもと、寄贈された資料群「葛巻文庫」の一部となっているものです。市はこれまで損傷の激しいものを中心に修復を行ってきましたが、点数が多くすべての修復を終えるには時間がかかることが見込まれるため、この度、横浜市立大学と協力し修復が進められることとなりました。
今回、直筆ノート100点の保存修復処置のご依頼をいただきました。
ノートは1枚ずつに解体されており、両面にインクや鉛筆などによる書き込みや繊細な描線のデッサンがあります。インクの一部には水に濡れ滲みが見受けられるものもありました。本紙の周縁部には破れなどの損傷があるほか、切り抜かれている箇所が多数あり、慎重な取り扱いが必要な状態でした。
資料は芥川の学生時代のノートで、東大英文科に在籍していた芥川が英文や美学の講義について細かくノートをとっていたことがうかがえます。切り抜かれている箇所は、葛巻氏が芥川龍之介の未定稿・デッサン集を編集する際に切り取ったと考えられています。学生時代のノートを通して、芥川に関する研究が進むことが期待されています。
資料表面をクリーニングクロスや刷毛でドライ・クリーニングし、大きな破れを和紙(楮)とでんぷん糊で修補しました。Bookkeeper法[※1]による非水性脱酸性化処置を行った後、透明なフィルムに挟み周縁部を超音波溶着機で溶着するエンキャプシュレーション処置を行いました。
エンキャプシュレーション処置により、資料は4辺を溶着したフィルムに封入された状態になります。資料表面に直接触れることなく、裏表両面の情報を視認することが可能です。また、フィルムが支えとなるため、切り抜き箇所の多い劣化した資料も最小限の修補のみで安全に取り扱うことができるようになりました。フィルムの溶着部分をカットすることで再び資料を取り出すことも可能です。この処置により、資料の保存性と取り扱い易さが向上しました。
この度の事例掲載にあたり、藤沢市文書館様ならびに横浜市立大学の庄司達也教授よりご協力をいただきました。誠にありがとうございました。
[※1]Bookkeeperとは不活性液体に酸化マグネシウム微粒子が分散している液体。この液体を本紙にスプレーし脱酸性化処置を行う。液中の酸化マグネシウム微粒子が紙中の繊維の間に入り込み、紙中および大気中の水分、二酸化炭素と結合して炭酸マグネシウムを形成する。この炭酸マグネシウムが、アルカリバッファーとして紙中や大気中からの酸性物質による劣化を予防する。
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・2024年03月28日(木)横浜市立大学 プレスリリース『芥川龍之介の直筆資料約150点を修復―横浜市立大学と藤沢市が連携し、文化・芸術の振興に貢献―』
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『今日の工房』
・2021年3月26日(金)予防のための「フィルム・エンキャプシュレーション」 ー 紙をくしゃくしゃに潰す実験
・2018年2月21日(水)フィルム・ エンキャプシュレーションの現在(1)なぜこの技術が必要とされ、広く普及したのか?
・2018年2月28日(水)フィルム・ エンキャプシュレーションの現在(2)二枚のフィルム内に封じられた酸性ガスは劣化を加速させないのか?
・2018年3月08日(木)フィルム・ エンキャプシュレーションの現在(3)ガス吸着シートの同封が開く新しい可能性
2024年3月28日(木)中性紙管で作る太巻き芯:掛軸、巻子の安全な保管方法の一提案
太巻き芯は絵画や書跡の掛軸装、巻子装を保管する際に使う便利なアイテムです。特に、本紙が傷んで紙質が硬化しているものは、細く巻くと負担がかかるため、軸を挟み込んで太くし、本紙を大きく巻くことで、描画材の剥離や開閉による損傷・劣化を最小限に抑えます。太巻き芯は、掛軸や巻子装の形態に合わせた間接的な予防保存処置であり、巻き癖を和らげ、開閉による擦れや横折れを軽減する効果があります。
一般的な太巻き芯は杉や桐などの木材を使い、削り出して作られますが、弊社が製作したものは中性紙管を使用しています。紙管を使う場合は、まず紙管を2つに半裁分割します。しかし、この作業にはかなりの手間がかかり、さらに、スパイラル紙管(紙の帯をらせん状に巻きつけて製造される紙管)を半裁すると、その製造上の特性から、ねじれが発生して全体が歪んでしまうことがわかりました。この歪みを矯正し、全体的な寸法精度を向上させるために、プラスタゾートから切り出した支軸パーツを作り、それを2つの分割紙管に固定することで、この歪みを解消しました。また、紙管の両端に円形の保護材を設置し、プラスタゾートと一緒に半裁紙管に固定することで、さらに安定した状態になります。半月状のプラスタゾートは、積層した状態で均等に貼り合わせ、軸木の太さに合わせてカットできるだけでなく、軸木の歪みや軸首の形態に応じて形状を設計・切り出し加工することもできます。紙管を分割する加工には、半裁するための専用治具を開発しました。この治具を使えば、硬く丈夫な中性紙管を特別な機具なしで安定した状態で均等に半裁できます。この専用治具は紙管径に合わせて制作でき、様々なサイズの中性紙管に対応できます。
太巻を装着して閉じた際の開口部分には、わずかな隙間を残し、巻き始めの裂地を傷めないように配慮しています。軸受け付きの保存箱に収納すれば、掛軸に負担をかけずに安全に保管することができます。
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・2020年10月23日(金)絨毯を保管する大型の保存箱を製作しました。
・2011年04月28日(木)今日の工房
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・巻子台差し箱
2024年3月11日(月)繁忙期が佳境に入り、年度末のご納品に向けて奮闘中です
3月に入り、今年もたくさんのお問い合わせやご相談をいただいており、弊社では一年の中で最も忙しい時期を迎えています。スタッフ一同、日々お客様からのお問い合わせにフル稼働で対応し、修理作業や保存製品の製作に取り組んでいます。
修理部門では、ご所蔵先へ赴いて行う出張修理や資料の保存整理業務に加えて、工房内の仕事も年度末のご納品に向けて駆け足で仕事を進めています。保存容器部門はこの時期、大型の保存箱や工程数が多く複雑な構造の箱など、熟練工しか対応できないカスタムメイドの保存箱のほか、多種多様な保存箱を製作しており、完成したものから順次お客様にお届けしています。
弊社では、一般資料向けにサイズ、形状、保存に適した保存容器を「定型品」としてご用意しています。これらの定型品は、比較的低価格でシンプルなデザインながらも、使いやすさや収納のしやすさを考慮したアイテムです。形状と価格がホームページに掲載されておりますので、お見積り前にご使用やご予算をイメージしていただけます。現在、アーカイバルバインダー、アーカイバル・クリアホルダー、ファイルボックスRなどの定型品や、GasQ、くるみん、モルデナイベなどの保存用品は在庫がございますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
2024年1月29日(月)2023年度 東京造形大学附属美術館様 博物館実習の一環で見学会を行いました
東京造形大学附属美術館では、桑澤洋子関連資料や小野かおる関連資料をはじめとする多数の資料を所蔵し、授業や展示に活用しています。これらの資料群は、これまで株式会社紀伊國屋書店によるプロデュースのもと一貫した資料の保存整理と電子化事業が進められてきました。弊社は紀伊國屋書店との業務提携において、資料の保存整理作業や電子化前後の処置を担当しています。
2023年11月、紀伊國屋書店のアテンドにより、東京造形大学附属美術館博物館実習の一環として、学芸員課程を学ぶ学生の方々に提携する各社をご見学いただきました。
電子化を行う株式会社インフォマージュでは、近年大学に追加で寄贈され、保存整理作業を行っている最中の「小野かおる」絵本原画の電子化工程を見学しました。
弊社の保存容器製作部門では、保存容器を切り出し組み立てるまでの工程をスタッフが実演し、さまざまな種類の保存容器を実際に手に取って見ていただきました。修理部門では近現代資料の修復の現場をご紹介し、サンプル資料によるリーフキャスティングの体験実習も行いました。
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『今日の工房』2019年11月7日(木)東京造形大学附属美術館様の所蔵品、絵本作家小野かおるの立体作品の保存箱を製作しました
2024年1月4日(木)あけましておめでとうございます。
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
旧年中は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
本年は弊社にとって創業25周年の節目の年となります。
従業員一同、気持ちを新たに、皆さまにより良い製品・サービスをご提供できますよう努めてまいります。
どうぞ変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
2023年12月28日(木)本年もお世話になりました。
2023年も残すところあとわずかとなりました。
仕事納めには道具や機械、工房を綺麗にして一年の労をねぎらいます。
今年は新しいスタッフも加わり、仕事においても多くのご縁に恵まれ、無事に年末を迎えることができました。そして、2024年は弊社にとって創業25周年の節目の年となります。ここまで弊社を支えていただいた皆さまへ、一層の感謝の気持ちをお伝えする一年にしてまいります。
今年も1年間、弊社ブログをご覧いただき、ありがとうございました。来年も引き続き、資料保存に関する私どもの取り組みの様子を発信してまいりますので、ご覧いただければ幸いです。
どうかみなさま、よいお年をお迎えください。
年内(2023年)は12月28日(木)17時まで営業、
新年(2024年)は1月4日(木)より通常営業いたします。
2023年12月19日(火)和装本修理の舞台裏:無酸素パックMoldenybe®モルデナイベの殺虫効果と虫害のひどい和装本の修理について
最近、和装本の修理の仕事で、虫害がひどいものがありました。本を動かすたび、黒い粒状の虫糞が砂のように舞い散り、表紙から本文まで大量の虫食いによる損傷が目立ちました。表紙は題箋や装飾紙までが食い荒らされ、芯材がむき出しになっていました。本紙も同様に食害がひどく、ページ同士が固着し開くことが難しいほどの状態でした。
こうした和装本への被害を引き起こすのは、「シバンムシ」と呼ばれる昆虫です。被害は主に幼虫が与え、書籍や古文書、巻物などに穿孔して食害します。成虫は幼虫の餌となるものの表面やくぼみに産卵し、孵化した幼虫は、その内部を食べながら成長します。成長した幼虫は表層近くまで移動し、そこで蛹室(ようしつ)をつくって蛹化(ようか)します。春先になると、この穴の中で蛹となり、このとき糞やかじり屑を唾液で固めて蛹室をつくるため、紙がくっついて開きにくくなります。その後、成虫になり円形の脱出孔を開けて外に脱出します。成虫は餌を食べずに交尾・産卵し死亡します。卵から成虫になるのに1~数年かかると言われており、温湿度が成長に好条件の場合には卵から成虫になるのに2~3ヶ月程度です。シバンムシは一度発生すると、特殊な殺虫処理をしない限り被害を抑えることが難しい厄介な害虫です。
シバンムシの主な発生時期は5~10月で、冬眠せずに幼虫の姿で越冬します。成虫が発生し始めるのは5月で、今回の依頼も初夏から梅雨明けの時期でした。修理に取り掛かる前に、まずは無酸素パック『Moldenybe®モルデナイベ』を使い害虫を駆除しました。
封入時の様子 | 3週間後の様子 |
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ガスバリア袋内に6冊組の和装本2点と脱酸素剤を封入して酸素濃度を0.1%以下の無酸素状態で書籍中の害虫を駆除します。この殺虫処理は20℃前後の室内常温で3週間にわたり行いました。3週間後、袋を確認すると、シバンムシの死骸が本の外側に散在しているのを確認しました。袋内の酸素が次第に減少する中、シバンムシは息苦しさに抗いながらも光と空気を求めて、外の世界に逃れようとしたのでしょうか。3週間で書籍のシバンムシの成虫と幼虫に対して100%の殺虫効果が得られ、モルデナイベによる無酸素処理の効果を肌で感じる実例となりました。
その後は本を袋から出し、表面のクリーニングを行った後、虫損箇所にこびりついた虫糞を丁寧に取り除き、1丁ずつの状態になるよう解体しました。殺虫処理の際に出てきたシバンムシはほんの一部で、本紙の中にも多くの死骸がありました。本紙の欠損部は丁寧に繕い、虫損でレース状になってしまった本紙については、裏打ちにて補強し、その後、仕立て直しを行いました。
無酸素パック『Moldenybe®モルデナイベ』は、ガスバリア袋内で資料を密閉する保管法としても有効で、新たな害虫の侵入を防ぐことができます。殺虫が完了した後は密封状態で保管し、資料を使用する際に清潔な場所で開封し、使用後に新しい脱酸素剤とともに再び密閉することで、劣悪な環境でも書籍を虫害から守ることができます。
▶タバコシバンムシは、文化財を損傷させる害虫のなかでも、特に無酸素の環境に強いとされています。アメリカのゲッティ文化財保存研究所(GCI)が2003年に発行した文献によれば、この害虫は温度25.5℃湿度55%RHの条件下で、成虫は120時間(5日)、蛹は144時間(6日)、卵の状態では192時間(8日)で駆除できることが確認されています。この文献は、文化財害虫を無酸素環境で駆除する条件を示した唯一のものであり、非常に貴重な情報源となっています。著者である保存科学者の前川信氏は、無酸素保存における予防保存技術の先駆者として知られています。
(文献) The Use of Oxygen-Free Environments in the Control of Museum Insect Pests by Shin Maekawa and Kerstin Elert 2003(GCI)
https://www.getty.edu/conservation/publications_resources/books/oxygen_free_enviro.html
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『今日の工房』
・2021年4月23日(金)和装本にみられる虫害
・2020年3月27日(金)虫損が著しい文書修理の第一歩は「剥がす」
・2015年3月27日(金)無酸素パックの大型タイプを開発—-段ボール4箱をそのままパックして安全に殺虫
・一般的な文化財害虫を100%致死させるのに必要な無酸素処理時間 (PDF)
2023年11月8日(水)日本大学図書館法学部分館様所蔵の貴重書への保存修復処置について
日本大学図書館法学部分館様より、書籍約60点を図書館貴重書庫へ移管するにあたり、害虫やカビを書庫内へ持ち込まないよう虫菌害対策と保存処置のご依頼をいただき、無酸素パックMoldenybe®モルデナイベを用いた殺虫・カビの不活性化処置、書籍のドライ・クリーニングを実施しました。
具体的な手順として、折りたたみコンテナにセットしたガスバリア袋に対象資料と脱酸素剤を封入し、3週間程の無酸素状態を維持・殺虫期間の経過後、各書籍を一冊ずつ専用のクリーニング・クロスを使って、表面のチリやほこり、蓄積した汚れを丁寧に取り除きました。書籍群の中には、レッドロットが進んだ革装丁本、本体から表紙や背表紙が外れた書籍などがあり、これらの損傷し利用に支障のある書籍に対しては保存修復処置を施しました。
無酸素パックMoldenybe®モルデナイベは、熱や殺虫剤を使わずに虫菌害を駆除できるため、変退色が気になる革装丁本や表装材、製本材料の変化を気にせずに安心して使用できます。そして、今回のような貴重資料の移動に伴う殺虫処理にも適しており、コンパクトに対応できます。
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2023年10月25日(水)国立工芸館様所蔵のガラス乾板の整理と保全作業
国立工芸館は1977年、東京都千代田区北の丸公園に「東京国立近代美術館工芸館」として開館しました。2020年秋、石川県金沢市に移転し、2021年4月に正式名を「国立工芸館」として再オープンしました。
今回、移転準備中に発見されたガラス乾板(以下、乾板)の保全処置をご依頼いただき、乾板のクリーニング、状態等の記録、写真保存包材への入替え・整理作業を行いました。これらの乾板は、1977年の開館記念展で展示した資料の記録画像で、酸性紙製の箱(元箱)に収められており、同一サイズの乾板347枚と、プリント写真やネガフィルム125枚が含まれています。元箱には分類名や当時のメモ書きが残っており、乾板にはマジックで固有の番号が振られたものもありました。(写真①②③)
乾板のクリーニングと保存・整理作業は以下の手順で行いました。まず、作業環境を整え、マスクと手袋を着用し、HEPAフィルターを搭載した空気清浄機を使用しました。また、乾板の取り扱い中に損傷しないよう、ポリエチレンフォーム緩衝材AZOTE®を下敷きにして作業しました。
最初に、各元箱に収納されている乾板の全体写真を撮り、分類名、固有番号、状態(剥離や割れなど)を記録しました。
乾板に付着したチリ、ほこり等の汚れをクリーニングしました。乳剤面は柔らかい刷毛を使用し、ガラス面は刷毛によるクリーニングの後、写真専用クリーナーPEC PADで汚れを拭き取り、カビや汚れがひどい場合にはエタノールを使用してから乾いたクリーナーで拭き取りました(写真④⑤)。
クリーニング後、乾板は一枚ずつ中性紙のタトウ乾板フォルダーに収納し、プリント写真とネガは二つ折りフォルダーに包みました。各フォルダーには、分類名と固有番号を記載した中性紙ラベルを貼付しました。損傷のない乾板、プリント写真、ネガは、縦置き専用保存箱に納め、割れや膜面が剥離している乾板は、平置き用の保存箱に収納しました。平置きの場合、落とし込み式の容器シンクに収納し、シンクは5枚をまとめて1つの台差し箱に収納しました。シンク型容器は、重ねても乾板に負担がかからないように設計されており、安全です(写真⑥⑦⑧)。
今後、専門の撮影業者によって電子化が行われる予定です。
本記事の掲載にあたり、国立工芸館様にご協力をいただきました。誠にありがとうございました。
▼ガラス乾板について
乾板は、ガラス板の上に感光乳剤(ゼラチンを媒体とした臭化銀)を塗布・乾燥したもので、写真フィルムが普及するまで様々な分野で活用されていました。ガラスは高い解像度と歪みがないため、天文学、物理学など専門的な研究分野では1990年代まで使用されていました。
しかし、乾板は取り扱いに注意が必要で、衝撃や落下によって割れやヒビが生じやすく、乾板同士がぶつかることで傷ができることもあります。また、保存環境の影響も受けやすく、光、温度、湿度、大気中の汚染物質などが原因でカビ、銀鏡化、剥離などが発生することがあります。さらに、乾板の劣化の特徴として、ゼラチンをバインダーとする画像層と支持体であるガラスとで性質が異なるため、数種類の劣化症状が複合的に生じることもあります。
そのため、ガラス乾板の適切な保存方法と保管環境は、ISO18918:2000 imaging materials−Processed photographic plates−Storage practices(JIS K7644:2010 写真―現像処理済み写真乾板―保存方法)として規格化されています。保存箱やフォルダーには、PAT(ISO18916:2007)合格品の素材を使用し、乾板に悪影響を与えないことが求められている他、保管については、乳剤同士が接触しないよう立てて保管することが推奨され、水平に保管する場合は、下部の乾板に負担がかかるため重ねて保存しないことなど、適切な保管方法、保管環境が規格化されています。
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『今日の工房』
・2017年5月24日(水)あらゆるサイズのガラス乾板に対応できるように専用フォルダーを品揃えしました。
・2018年10月3日(水) 傷みやすい資料は、保存箱に収納する前に”包む”ことで、より安全に保存し、取り扱うことができます。
・2023年3月29日(水)上智学院ソフィア・アーカイブズ様所蔵の歴史資料「大学紛争ビラ」の保存処置事例
2023年9月22日(金)立正大学図書館様 移動書架用棚はめ込み箱の導入事例
立正大学図書館様より、立正大学でも教鞭をとられた法学者鈴木安蔵(1904-1983)の旧蔵資料である「鈴木安蔵旧蔵資料」を収納するためのアーカイバル容器をご依頼いただきました。資料は文書や書籍などが封筒に収納されており、これらを貴重書庫の移動書架へ配置するため、書架に合わせた保存容器を検討する必要がありました。
今回採用されたアーカイバル容器は、棚の寸法に合わせてつくる「組み立て式棚はめ込み箱」です。箱の外面が棚の内側にぴったりと沿うように設計するため内寸を広く確保できます。さらに、箱の蓋前面が開く仕様になっているため、資料の出し入れが、棚に配架されている状態と同じくらい簡単に行えます。平積みの資料に対しても、箱の蓋を前面から開けることで、側面から資料を確認できます。通常の棚はめ込み箱は、蓋の留め具に樹脂製のひねり留め具を使用しますが、移動書架に設置されることから、向い合う棚の箱同士が干渉しないようにマジックテープを使いました。
本記事の掲載にあたり、立正大学図書館の吉水様にご協力をいただきました。誠にありがとうございました。
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・2016年4月20日(水)早稲田大学演劇博物館の森律子等身大人形のコンテナ型保存箱。
・2022年2月18日(金)早稲田大学中央図書館様での組み立て式棚はめ込み箱の設置事例。
・2021年2月15日(月)山階鳥類研究所様のご依頼で棚はめ込み式保存箱を製作しました。