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2024年10月15日(月)日本基督教団滝野川教会様の大型英語聖書 修復と保存の記録

東京都北区にある日本基督教団滝野川教会様より、大型英語聖書の修復依頼をいただきました。滝野川教会は明治37年に創立され、今年で120周年を迎える歴史ある教会です。

 

今回修復したのは、1708年にロンドンで刊行された聖書で、縦420mm、横275mm、厚さ104mmの大型で重量のある資料です。この聖書は総革装で背バンド綴じの製本がされており、見返しにはマーブル紙が使用されています。表紙の芯材には木が使われ、表面の革には空押し模様や金属装飾が施されています。金属装飾は表裏表紙の四隅と中央に施されていましたが、現在では表表紙の四隅と裏表紙の背側にのみ装飾が残り、他の部分は欠けています。

 

状態としては、表裏表紙と本体はしっかり接合されていますが、ジョイント部分の革が擦り切れて麻ひもが見えている状態でした。背表紙の上下の革は欠損しており、過去の修理で使用された製本クロスが露出していました。また、経年劣化により、背表紙が本体の背から部分的に剥がれていました。本体では、表裏表紙付近の綴じ糸が緩み、折丁が外れかかっている箇所もありました。

 

修復処置は、まず背表紙を一旦剥がし、過去の修理で使用されたクロスと背固め膠を除去しました。その後、薄い和紙(楮 10g/㎡)で背を補強し、緩んだ綴じ糸や外れかかっている折丁を、補強した支持体に絡めて綴じ直しました。さらに、和紙と寒冷紗を貼り重ねて背を固め、元のタイトバック構造[※1]からホローバック構造[※2]へと変更しました。これにより、背表紙と本体が直接接着されず、開いたときの背表紙への負担を緩和し、本体の背は柔軟に動くようになりました。欠けていた革の部分は染色した和紙で補修し、全体に保革処置を施しました。

 

最後に、修復した聖書は「台差し箱」に収納しました。この保存容器は、重い資料を安全に保護するために底板を補強し、緩衝材となるプラスタゾートを貼り、金属装飾の部分が当たらないように工夫されています。また、出し入れがしやすいように、長辺側にフラップを設けました。

 

※1 背表紙の内側と本体の背が接着されている構造
※2 背表紙の内側と本体の背が接着されておらず、本を開いた状態のときに、背表紙の内側に空洞ができる構造

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