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2022年5月13日(金)戦中掛図資料の修理
東京都生活文化スポーツ局文化振興部様より、掛図「国民防空図譜」修理のご依頼を承りました。
掛図は明治以降、主に学校で使用する視覚教材として普及した形態で、教育掛図とも呼ばれます。絵図が印刷されている厚口の紙を重ね、上部を木材で挟み、金属製の挟み具や釘、鋲などで紙束と合体し、カレンダーのように黒板や壁に吊り下げて使用していました。図書というより教具・備品としての性質があり、加えて、大判のため保管しにくい・扱いにくいことから傷みやすい傾向があります。
今回修理を行った「国民防空図譜」は学校教材ではありませんが、昭和18年の戦時下に発行され、空襲による被害を抑えるための防火、消防活動や灯火管制、救護措置などについて、民衆に対して分かりやすいよう多色刷りの鮮やかな色彩で解説されています。これら本紙37枚からなる掛図は、掛け具の木材からは既に外され、上辺は接着剤で貼り合わせてあり、本紙周縁に細かい破損や汚れが見受けられる状態でした。まずは掛図を一枚ずつに分離し、破損箇所の修補、酸性物質による劣化を予防する脱酸性化処置を行いました。さらに、このあと資料は分離したままの状態で保存されるため、取り扱い時の保護資材としてアーカイバル・クリアホルダーへ収納しました。
この掛図は今年3月に開催された「東京空襲資料展 池袋芸術劇場会場」にて実物展示されました。会場では、修理工程を掲載した解説パネルも一緒に展示していただきました。
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