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2021年3月26日(金)予防のための「フィルム・エンキャプシュレーション」 ー 紙をくしゃくしゃに潰す実験

フィルム・エンキャプシュレーションは、剥き出しのまま取り扱うことが難しいほど酸性紙化した資料や、古い新聞、地図、図面、ポスターなどサイズの大きな資料を、傷めることなく、扱い易くするために用いられる保存方法です。この方法がいかに物理的な損傷からの予防に効果があるか、視覚的に確認するための簡単な実験があります。

 

酸性劣化した紙を用意し、ひとつは剥き出しのまま、もう一方はポリエステルフィルム(70μ)に挟んで、四辺を超音波溶断機で封印します。そして、手でくしゃくしゃに潰します。画像の通り、剥き出しの本紙は完全に破断しますが、エンキャプシュレーションした方は、フィルムの中でバラバラになることはありません。封を開けてみると、シワや破れはありますが元に近い状態の本紙を取り出すことができました。

 

これは極端な比較実験ですが、エンキャプシュレーションした本紙が、高い保護力によって守られているということを分かりやすく実感することができます。フィルム・エンキャプシュレーションの技術は、二辺が開口しているアーカイバル・クリアホルダーや、巻いて保管するためのロール・エンキャプシュレーションなど、資料の形態や利用用途に合わせて応用されています。

 

 

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