今日の工房 

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2016年1月27日(水) 革装本の表紙の虫損を和紙の繊維で直す。

虫損は和装本ではお馴染みだが、革装本でも稀に見ることがある。今回の革装本(シリーズ本6点)は構造的な傷みはないが、表紙や背表紙に大小の虫損がある。本全体としては傷みのない綺麗な資料であるがゆえに虫損がとても目立つ。できるだけ目立たないようにして欲しいとのお客様のご要望で、和紙繊維による虫損部の補填処置を行った。

表装の革の色に似寄りの染色和紙を、ピンセットで細かく繊維状にちぎり、虫損の穴にでんぷん糊を塗りながら和紙を埋めていく作業を繰り返し、欠損部の表面が平滑になるまで行う。乾燥後、革の色調や模様に合わせて補彩し、本全体に保革油を塗布し仕上げる。

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