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2015年12月2日(水) 修理製本の隠れた部位に使う「白鞣し革」とは?

洋装本の表紙の修理に用いる革は、通常は植物タンニン鞣ししたものが使用される。だが、重い革装本の背ごしらえや、綴じの支持体として白鞣し革(white tawed leather)を使用することがある。この革は、植物タンニンではなく、カリウムミョウバン液に浸して原皮(山羊、羊、豚など)を変性することで、独特の色と風合いとともに、優れた耐久性と耐用性を持つようになる。表紙全体を覆う材料としても中世から18世紀にかけて多用されているが、コンサベーションでは、表紙の開閉時の負荷がかかる背や綴じの隠れた部位に用いることが多い。

 

なお、弊社が修理に用いる革は、製本用皮革の専門業者として200年以上の歴史を持つ英国J. Hewit & Sons 社から入手している。コンサベーション用の皮革素材としても長期的な安定性が確認されている。

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