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今日の工房
週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。
2006年11月17日
ファイリングされた作家の原稿を綴じ直す。ホッチキスやピンなどの錆びやすい留め具を外して、ゼムクリップで固定しておき、可能ならば元穴を活かし、細い紙縒を通して結ぶ。糊を指して、クリップを外し、コブを平らにつぶして完成。
2006年11月09日
既設のスチール棚に填め込み、前蓋を開閉するだけで、収納した長封筒サイズの文書を取り出せるアーカイバル容器を–というお客様のご注文に応える。内部に二段の棚をつくり、それぞれに仕切を入れたことで、ゆがまない丈夫な箱ができた。
2006年11月02日
酸化劣化と酸性劣化が複合して物理的強度が極限まで低下した絹本。通常の水処理を行うと輪染み(tide-line)が発生するために、薄い楮紙を裏側から微少点接着法で貼付け、破断部を治し、無酸+無アルカリ台紙とガス吸着紙に固定する。
2006年10月18日
厚手の楮紙の両面に木版印刷された和書を治す。粘葉装の糊の付いた部分を中心に虫喰いが著しい。欠損部を埋め、なおかつテキスト部が隠れてしまわないように、繊維の量を違えた漉き填め処置を根気よく繰り返してゆく。
2006年10月10日
シアノ・タイプ(サイアノ・タイプとも)の青図を治す。虫やカビ、塵埃による汚れをクリーニングして広げ、破れや欠損部をファイバー・ブリッジ法で留め、アルカリを含まない台紙+ガス吸着紙に固定して、最後にエンキャプシュレーション処置で完成。
2006年10月02日
2006年09月25日
吸い込み(サクション)型のリーフキャスティング(漉き填め)の実用化を進めている。従来法の溜め漉きに、流し漉きを組み合わせたような独特のシステムで、手の技に頼らねばならないところが多く、そこが面白さにもなっている。 (続く)
2006年09月12日
新人向けの洋装製本のレッスン。現在の「くるみ製本」から遡ってゆき、四世紀ごろのコプト製本(白い表紙)と、そのバリエーションとしてのエチオピアン製本(板の表紙)へ。後者は2本の糸、糸の両端の針(4本)を使う。日本の綴葉装とほぼ同じ。
2006年09月04日
写真を貼り付けたアルバムへの保存手当て。デジタル処置後、酸性の台紙から写真を外し、劣化ガスを吸着する新しい台紙へ、コーナー留めで移し替える。使用材料は全てPAT(写真活性度試験)をクリア。全体をエンキャプシュレーションして完成。
2006年08月22日
レプリカ的には治さないが、レプリカそのものは作る。長期展示用の洋書のレプリカで、右がホンモノ、左がニセモノ。表紙の平(ひら)の模様や、背クロス、金箔押し、ラベルと、展示用には充分なものが、コロタイプの五分の一程度のコストでできる。
2006年08月12日
彩色された古地図を治す。元の貼り合わせた箇所で全体を分割し、養生をして弱アルカリ水で洗浄(フロート・ウォッシング)をする。経時劣化による着色酸性物が洗い流された地図は破れ等が補修され、ロール・エンキャプシュレーションされる。
2006年08月08日
2006年07月31日
出土品の繊維製品資料を入れる容器。繊維の染料等に影響を与えないように、台差し型の内箱の内壁は3F(無酸・無アルカリ・無サイズ)ボードで覆う。この箱を5つ重ねたものをまとめて収納できる箱に入れて完成。
2006年07月25日
昭和初期からのスクラップ・ブックへの保存修復処置。マイクロ化・デジタル化の前に、撮影がしやすいように破れを治したり、開きやすいように解体処置を行う。脱酸性化の後に復元し、保存容器に収納する。
2006年07月19日
2006年07月10日
植物染料や化学染料等、幾種類もの色材で染めた修補用紙の褪色性と物理的劣化を試験する。オーブンでの加熱による擬似的な経年変化を見るとともに、屋外での長期の紫外線暴露試験、大気汚染物に対する耐性試験を行う。
2006年07月04日
2006年06月23日
1960年代に発行された文庫本。半世紀経過した酸性度は同等(pH5.0台)が、リグニン含有紙は全体が茶褐色に変り、耐折強度も低下している。一方は白色度も強度も充分に保持している。経時した酸性紙=強度低下ではないという例。
2006年06月13日
わら半紙にガリ版で刷られた戦中の公文書。洗浄・脱酸性・抗酸化、補填や裏打ちの後の、最後の行程。細かくゲタを入れた本体は、開きやすい構造になる。本体と表紙を合わせ、ドリルで貫通坑をあけて平紐で綴じあげる。