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今日の工房
週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。
2008年10月24日(金)
中村正直著『西国立志編』(明治9年)は表紙の芯材に初めて国産の板紙を使った製本とされている。しかし、現在のようなボール紙ではなく、数種の紙を貼り 合わせた paste board だった。芯材が見える部分は補修もせず、本体の開きなどの構造的な傷みだけを直し、少量の保革油を入れるに留めた。
2008年10月10日(金)
2008年09月26日(金)
虫損のはげしい近世文書。損じた穴の周辺には虫の糞が固着し、穴の周辺の端に黒い汚れができている。この汚れをあらかじめきれいに除いておかないと、リーフキャスティングによる繊維装填が上手にゆかない。
2008年09月08日(月)
紙媒体記録資料のコンサベーションの文献の棚。背番号が振られた論文と書籍は約2,000点ある。内外の学会等で発表される新しい論文も逐次入手してデータベースに加えられ、問題やテーマに即したアクセスができるようになっている。
2007年07月03日
本の背の天地に付けられるバンド(headband, tailband)は名前通り、綴じを強化するためのバンドだったが、やがて装飾的な意味が強くなり、絹糸等で編み込むかたちになった。現在は布切れになり、日本語では花布(はなぎれ)という。
2007年03月14日
2007年03月05日
コンサベーションでも容器の制作でも使う、いろいろな重さと形の重石。小さなものは資料補修時の抑えに、大きなものは容器の作成時の一時的な固定や、蒸気加湿した大きなポスター等のフラットニングに。写真右二つは市販の「漬け物石」。
2007年02月26日
特攻隊の若者が父母に当てた遺書。半世紀以上を経て、いま在る。破れや欠損部はエビデンス・ホウル(evidence hole)、すなわち状況と経時の証であり、涙の跡もそうだ。化学的な劣化を止め、分離しそうなところだけを繊維でブリッジして繋ぐ。
2007年02月20日
漢籍 7,600冊の綴じ直し。うち、タイトルなどの書誌事項が載った表紙の場合は、外糸の綴じ部(ヒンジ部)から書脳までを取り除き、薄葉紙(楮製)で袋折りを作り、これに収納し綴じ付ける。薄い紙を通して元のタイトルが見える。
2007年02月13日
背が赤い革で装幀された写真帳(アルバム)を直す。酸化・酸性劣化した背革は、活かせる部分を除いて、全体を和紙で治す。本体と表紙のヒンジ部を補強した後に、同系統の色染めをした厚めの和紙で背ごしらえをして元の革を貼り、保革用樹脂を塗り、磨く。
2007年02月06日
大型の保存容器を作る。現在では、ほとんどのパーツをCAD連動カッターで切り出すが、要所のパーツは押し切りでのカットのほうが良い場合がある。立ち上げ部や底板の補強、内壁の無酸・無アルカリ化の後に完成。巨大な羽毛布団が収納される。
2007年02月01日
虫損の激しい和書の紙葉の欠損部をリーフキャスティング(漉き填め)で補填する。溜め漉きと流し漉きとを組み合わせた独特の方法で、紙の繊維を欠損部に埋め込み、後々にも補填部が外れる心配のないキャスティングができた。
2007年01月25日
東京大学東洋文化研究所主催「第2回アジア古籍保全講演会」のメインスピーカーの周崇潤氏(中国国家図書館善本特蔵部図保組組長)が当社を訪れた。2時間たっぷり、中国の古籍や近現代資料の保存と修復についてお話をうかがうことができた。
2007年01月23日
東京大学東洋文化研究所主催「第2回アジア古籍保全講演会」が開催され、当社スタッフの「東洋文化研究所所蔵漢籍・中国書の劣化調査と補修」が報告された。170余名の出席者を迎え、中国北京図書館の周崇潤氏ほかの力のこもった話で、好評だった。
2007年01月10日
2006年12月28日
2006年12月22日
清朝中期の、棉紙に摺られた漢籍で内容は地誌。地図を見開いて継ぎ目無く見ることができるように、書葉を工夫している。普通は一枚の書葉の紙の真ん中を一回折り込み、それを束にして冊に綴じるが、この本は地図の書葉が蛇腹の構造になっている。
2006年12月15日
極度に脆弱化した絹絵の上に積もったホコリを除く。細かい目の柔らかい網で覆い、重石を載せて固定し、HEPA準拠の電気掃除機のノズルの先にガーゼを被せて、弱い吸引力で少しずつホコリを吸い込んでゆく。
2006年12月05日
布帙を造る。既製の布帙(左写真)は、帙の芯材に使われている黄ボール紙と、接着剤からの強い酸の移行により、接触していた資料の表紙が茶色に変色してしまった。当社の布帙は、芯材、布、接着剤–等々、全ての材料の品質が確認済みである。