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今日の工房
週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。
2012年08月30日(木)
明治19年発行の英語辞書。本紙は和装本のように前小口側が山折で片面テキスト、糸による3穴の平綴じ、小口の3方にはマーブルが施され、表紙の芯材は木製のくるみ製本。明治期に伝わった西洋の製本の構造と、和装本の構造が混在している。表紙が本体から外れ、本紙の一部が綴じから外れていたため、本紙を和紙で補強した後に綴じ直し、表紙・本体の再接合を行った。
2012年08月23日(木)
個人様所有の雛人形用の新きりなみ式保存箱。人形は全5体、小物は屏風や毛氈など全14点を全て一つの保存箱に収納したいとの依頼。採寸と納品は直接お宅へ伺った。屏風以外の18点は専用の部屋を設けた箱に収納し、底に寝かせて収納した屏風に直接乗ることがないようにレールとトレーを付け、その上に乗せる仕様にした。一箱に納めることにより、散逸することがなくなり格段に扱い易くなったと非常に満足していただけた。
2012年08月16日(木)
外れた表紙を糸で結びつけるタケッティング法(Tacketing)で再接合する。本体のヒンジ部分から一括目ののどに向かって、2箇所に孔を開けて糸を通す。糸の両端は表紙の芯材ボードと革の間に埋め込み、重量のある資料も表紙と本体をしっかりと繋ぎ合わせる事ができる。上から染色した和紙で覆い、見た目も馴染むように仕上げる。
2012年07月19日(木)
東京も梅雨が明け、強い日差しとともに夏本番を迎えました。毎年恒例の手ぬぐいは、涼しげなカモメの柄に決定し、間もなく皆様のお手許に配られる予定です。社内ではこの時期、汗をかきながらの製作となり新旧の手ぬぐいが活躍しています。
2012年07月12日(木)
大英博物館日本絵画シニア・コンサバターの杉山恵助氏と、フリーア美術館アーサー M. サックラー美術館東洋絵画修復室主任コンサバターのアンドリュー・ヘア氏が、工房見学にいらした。アーカイバル容器部門とコンサベーション部門それぞれを見て頂いた。巻子用容器などのほか、補修用料紙の染色方法についても関心があるとのことで、様々な意見交換ができて有益だった。
2012年07月02日(月)
6月30日、7月1日の両日、日本大学文理学部百周年記念館にて文化財保存修復学会第34回大会が開催されました。弊社はアーカイバル容器の展示と、ポスターセッションで「水害を受けた紙媒体資料の簡易・迅速な緊急避難法」(PDF 380KB)を発表しました。ご来場くださった多くの皆様から、沢山のご質問やご意見を直接伺うことができ、大変参考になりました。お立ち寄りくださった方々に心より御礼申し上げます。
2012年06月21日(木)
巻き癖の強い図面の水蒸気による加湿フラットニング。保存修復手当を行うためには、まずはこれらを平らにする必要がある。容器に室温の水を張り、資料が直 接触れないよう底上げして網を置き、資料を入れたら蓋をかぶせて加湿する。この方法で、ある程度の量をまとめて処置する事ができる。
2012年06月09日(木)
美術館の既存の屏風用ラックに、はめ込み式の壁板を製作した。表面が中性紙ボードでできた壁板は金属より資料へのあたりが柔らかく、立てかける際にも安心できる。今回は最大で約1.8m×1.2mもの大きさがあるため、三層構造にして強度をもたせた。貼り合わせも3人がかりの大仕事。
2012年06月07日(木)
商品がちょうど納まるように梱包用ダンボールを加工するにはちょっとしたコツがいる。このためのアイデア治具がこれ。棒と直角にダイスが食い込みスライドさせると、折りたい箇所に線状に凹みがつく。梱包の決め手になる正確な折り込みラインが誰でも簡単に引ける。角材とクランプだけの簡単なものだが、あると大変便利。
2012年05月31日(木)
ハーフ・バインディングの革装本の修理。オリジナルの革の背表紙と表紙のコーナー部分はレッドロットにより劣化していた。本体の一部に見られた丁の外れは、隣り合う括と糸で綴じ合せた。本の重量と厚みによる背への負担を考慮し、新規革装丁での処置をした。最後にオリジナルの背表紙のタイトルパネルを新規背表紙に貼付した。
2012年05月17日(木)
これまでは上蓋のみが開く保存箱で、資料にアクセスするには箱を棚から取り出す必要があり、満載すると超重量になり不便かつ危険。とのお客様からの声を元に、資料を整理収納する際は上蓋を、棚に納めた後は前扉が開き資料へのアクセスが容易な棚はめ込み箱を資料と棚どちらにもピッタリと合わせたサイズで作製した。期待に100%応えられる保存箱が完成した。
2012年05月10日(木)
人材育成の一環として行っているペーパーコンサベーションのレッスンの様子。和装本、原稿、新聞の3種類の資料サンプルを使用する。解体から始まり、ドラ イ・クリーニング、洗浄、脱酸性化処置、リーフキャスティングなど修補の工程を経て、綴じ直し、エンキャプシュレーション、保存容器収納までの保存修復処 置を一通り行う。
2012年04月26日(木)
当社が毎日製作するアーカイバル容器は少量多品種。CADで図面を描き、切り出し、組立加工するが、大きな板から切りだすと、どうしても余計な部分が出て きて、どんどん溜まっていく。また、設計や加工時のミスによるヤレも出てくる。これらは専門の業者さんに引き取ってもらい、再び紙として活用される。
2012年04月19日(木)
江戸期の埋蔵銭貨をいれる特注容器。碁石のような粒状の形をしたものや延板状の長楕円形など色々な形態がある資料のため、一点ずつ形をトレースして、落とし込みマットを作成した。箱には綿布団を組み込み、蓋を閉める際、資料を適切に保持できるよう工夫されている。
2012年04月12日(木)
日々の利用により、切れ味の落ちた断裁機の刃を研ぎに出した。職人さんの手にかかると、刃の脱着も微調整もものの数分。見事な切れ味が蘇った。年季の入った機械なため、パーツも専用工具も代替品の入手がもはや難しく、紛失できない。
2012年03月29日(木)
裏面に文字が書かれているトレーシングペーパーのエンキャプシュレーション。アルカリを含まない台紙+ガス吸着紙を額縁状に切り抜いて、文字を覆わないよう資料周辺を囲う。裏面からファイバー・ブリッジ法で台紙に固定し、最後にエンキャプシュレーション処置で完成。
2012年03月22日(木)
彩色部分の絵具が剥落するおそれのある軸物を広げた状態で保管する容器。強い巻き癖のため両端の八双と軸棒に箱型のストッパー(写真左より1・2番目)を 被せて戻らないようにする。さらに上板(写真左より3・4番目)を載せて左右のストッパーを固定する構造。軸物の出し入れを容易にするため容器の側面には フラップを付けた。
2012年03月15日(木)
2012年03月08日(木)
甲冑と、付随する装飾具を共に収納する箱を作る。重量のある甲冑は各部分を解体して収納される。保存箱の形状は、コの字状のスリーブが着脱可能で、収納したものを安全に取り出せるつづら箱に、また、荷重のかかる底面には補強材を組み込み、歪みや破断が生じない構造にした。