今日の工房 

週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。

2013年04月12日(金)

紙の加速劣化試験を行うための定温乾燥機。ISO 5630-5:2008 (ASTM D 6819-02: Temperature aging method  を元にした規格)の方法で試験を行い、経時による紙の劣化挙動を予測する。この試験法は、「自然に経時した場合の劣化度との整合」がつく方法といわれてい る。サンプル紙片(一枚物および束にしたもの)を密閉した試験管に入れた後、庫内全体を常に100℃に保つことができるオーブンに5日間入れるだけで結果が出る。

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2013年04月04日(木)

木版画連作を収納するトレイと保存箱を作製した。作品を持ち運ぶ際の扱いやすさ、中身の確認がしやすいもの、光や埃からの保護といった収納ニーズに合わせ、シンク型のトレイには内が透けてみえる程の薄い不活性の不織布を組み合わせた。複数の作品を重ねフラットな状態でまとめて保存箱に収納する。

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2013年03月21日(木)

東京はここ数日の暖かさで桜も開花し、弊社の周囲もすっかり春めいてきた。一方、社内では年度末繁忙期の真最中。最後の追いこみで連日フル稼働である。弊社が春を満喫できるのは、もう少し先になりそうだ。

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2013年03月07日(木)

仏像本体と付属する装飾品をまとめて収納したいという依頼を受け作製した、仕切り付きのつづら式保存箱。 装飾品は個別の小箱に収納し、本体と部屋分けをするため、つづら箱の中に着脱可能な仕切りを設けた。 各資料は綿布団で包み、保存箱内で安全に保管ができる。

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2013年02月28日(木)

丸筒に巻いた大型拓本用の保存箱。丸筒用に軸受を付け、本紙部分は拓本を優しく受けるために綿布団を底に敷いた。箱を重ねても安定して収蔵できるよう箱のサイズは揃えて欲しいとのお客様のご要望のため、天地寸法の短い作品はお客様で内寸を調整できるよう軸受を未固定にした。側面下部のポリプロピレン製の取っ手により、安定した持ち運びが可能になった。

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2013年02月21日(木)

銅像を収納する保存容器を作る。既存の木箱にガス性の酸を感知する薬剤を染み込ませた紙片(A-Dストリップ)を入れると、6時間後に元の青色が緑色に変色した。木箱の組み立てに使う接着剤、もしくは木そのものから有機酸が放出し、箱の中が酸性雰囲気であることが判る。新たな保存容器は錆の原因となる腐食ガス吸着機能と防湿効果をもつ「新きりなみ」仕様となっている。銅像は綿布団を敷き詰めたシンクに納め、元の箱とともに収納した。

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2013年02月15日(金)

B0サイズ(1030×1456mm)用アーカイバルクリアホルダーの 作製。ハンディタイプの超音波溶断機で長距離をシールドしようとすると、手元が安定しないため溶断面が歪んだりシールミスなども起きやすい。そこで専用の 治具に装着すると、これだけ大きなサイズでも確実な加工が出来て、仕上がりも綺麗。大型の地図や図面のエンキャプシュレーションをする際にも活用できる。

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2013年01月24日(木)

個人の方の遺品(モノ資料)のコレクション用に製作した保存容器。収蔵庫内の引き出しに混在していた様々な資料を、分類・整理するために容器に仕切りを設けた。高さのある資料は個別に壁で囲い、平たく薄い資料は上げ底にして取り出し易くした。

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2013年01月17日(木)

原資料のマイクロ化・デジタル化に伴う解体・復元・容器収納作業。資料を代替化のために撮影する際、安全に撮影するのに必要な見開き具合を確保するのが困難な場合、予め解体を行う。撮影後は、再製本や新規表紙作成による綴じ直し、あるいは保存容器への収納を行う。いずれの行程も所蔵者様、撮影業者様、弊社の3社で事前に方針を決める。画像は簿冊(合冊製本)、タイトバック(本体の背と背表紙が接着された構造)の革装丁本、金属による平綴じの小冊子の形態の解体前、解体後、復元後、容器収納の例。

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2012年12月06日(木)

「アクリル製展示台」のプロトタイプモデルの紹介。ベースに立つ4つの真鍮製の脚は、伸縮自在で、支持板の高さが調整できる。真鍮の内部にはバネを組み込み、本の荷重を柔軟に支える構造となっている。支持板との接続は歯車構造のヒンジを適用。加工精度が高く、中心の回転軸を基準に自由に動き、開いた角度でロックできる。

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2012年11月29日(木)

高さと重量のある作品を入れる被せ箱。箱の蓋と身を通常と逆に使うことにより、中身を取り出しやすくした。高さのある資料向けの箱としては、この他につづら式保存箱がある。

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2012年11月15日(木)

修復のサンプル資料。洋書、和装本、一枚ものなど様々な資料をサンプルとして集めている。これらを処置方法の検討や、技術向上のための練習台として使っている。お客様へご説明の際の修復事例としても使用。最後の画像は革装丁本の修復前と修復後を一冊で比べられるように処置した。

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2012年11月01日(木)

書庫内での図書等の資料清掃に最適な「ドライクリーニング・ボックス」の販売を開始しました。ドライクリーニング作業時に、カビやホコリを吸い込まないよう作業者の健康への被害を最大限に考慮した構造です。HEPA またはULPAレベルのフィルターのものならば、お手持ちの家庭用掃除機が装着可能です。第14回図書館総合展に出品しますので、是非弊社ブース(小間No28)にお立ち寄りください。→改良した製品はこちら。簡易ドライクリーニング・ボックス

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2012年10月16日(火)

上野の東京藝術大学附属図書館にて、「後藤家文書 刀装金工の鑑定と記録」貴 重資料展が開催中。後藤家文書は、寄贈当初から虫損による損傷が激しく、公開が難しい状態のものが多数含まれていたが、平成20年度より保存プロジェクトとして修復作業が開始され、弊社もその一端を担わせて頂いている。展覧会では、修復工程のパネル展示と共に、実際に弊社が修復を行った資料も一部展示されている。会期は10月27日(土)まで、観覧料無料、同館2階目録室にてご覧いただけます。

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2012年10月11日(木)

茶道具の桐箱の構造を応用した紐付き被せ箱。紐を底面に十字に通し、上から底板をはめ込んでいる。紐を箱に固定しないことで「四方左掛け」のような独特の結び方ができる。

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2012年10月04日(木)

粘着テープを除去し、修補する。粘着テープは外れた表紙をつなぐために貼られていた。表面からアルコールで湿りを入れて接着剤を緩ませ、表装の革に注意しながら綿棒やスパチュラを用いて慎重に取り外していく。接着剤も残さず除去したのち、新たにヒンジを作成して表紙と本体と接合した。

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2012年09月27日(木)

國立臺湾師範大學美術系専任副教授の張元鳳先生とお弟子さんたちが弊社工房へ見学にいらした。アーカイバル容器部門では、各製作行程や、容器についての構造と効果、各箱種の特徴等を見て頂いた。コンサベーション部門では、虫損のある資料に対する各処置行程やエア・ストリーミング乾燥法、インク焼けのある資料に対する処置方法を見学し、エンキャプシュレーションの作業体験も行った。

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2012年09月21日(金)

ロール・エンキャプシュレーションによる大判地図の修復手当て。資料の一端に和紙の足を付けフィルムで挟み、和紙ごと溶着する。フィルムの他の三辺を溶着しないことによって、巻き込む際に生じるフィルムのたわみを逃がす。資料の保護性は極めて高く取り扱いも安全、平置きの保管が難しい大型の資料でも、芯無しでロール状に仕上げることができる。最後に平紐の輪で止めて保存容器に収納する。

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2012年09月13日(木)

篆刻と貴重な装飾品類をまとめて一箱に保管するための特注保存箱。篆刻は筒状の囲いの中に立てて納め、付随する装飾品類は各サイズに合わせて作成した仕切付きの台差箱に納める。一箱にまとめることにより管理やアクセスもしやすくなる。

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2012年09月06日(木)

アーカイバル容器部門のCSSの様子。大型箱の新規構造開発、作業の簡素化、反りの低減の3つをテーマに手法の改良と性能検証を行なった。アーカイバルボードだけを使った、特殊な連結接合を考案し、3m超の長尺でも、軽量でかつ十分な強度を保つ。また従来よりもシンプルな構造が完成した。中重量の大型資料用の保存箱に適用できる。

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