今日の工房 

週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。

2023年8月4日(金)お客様にお届けする暑中お見舞いが完成しました。

今年の柄は、夏野菜づくし。色鮮やかなビタミンカラーのバンダナと挨拶状をお送りします。

 

甘くてジューシーなトマトにトウモロコシ、暑い夏の味方キュウリ、個性的な味が美味しいゴーヤにミョウガ。
夏が旬の野菜には、暑い季節に不足しがちなビタミンや水分がたくさん含まれています。夏野菜から元気をもらい、暑い夏を乗り切りましょう!
猛暑の折りから、みなさまのご健康をお祈り申し上げます。

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2023年7月18日(火)1点物の陶彫作品を収納する保存容器を製作しました。

美術画廊GALLERY SCENA様からのご依頼で、陶造形作家・村上仁美様の陶彫作品を収納するアーカイバル容器を製作しました。

 

作品は陶製のオブジェで、表面にアクリル絵の具等で焼成後の彩色が部分的に施されています。以前は作品を購入されたお客様へご納品する際、桐箱などをご利用されていたとのことですが、市販の桐箱ではぴったりと合うものがなく、作品の大きさと形状の正確な測定や固定治具の取り付けなど、カスタムフィットの対応が難しいと感じていたとの事です。また、木材から放散される有機酸などのガスが作品の彩色部に悪影響を与える危険性を憂慮されており、なるべく製作当初の状態のままご購入されたお客様の手元で大切にしていただきたいとの思いで、弊社のアーカイバル容器をご活用いただいております。

 

アーカイバル容器は、身の前面が開くフラップ仕様の被せ式保存箱です。この形状により、作品を横から安全に出し入れすることができます。作品のサイズや重量に応じて、底面や側面に補強を施しています。収納対象となる陶彫作品には、植物がモチーフの繊細な装飾が施されており、些細な衝撃で破損してしまう可能性があります。そのため、容器内で作品が横に動かないように、容器の底面には作品の輪郭に合わせてくり抜いた固定用のスペーサーを取り付けました。作品をお客様に納品する際などの輸送時には、緩衝材として新薄葉紙『Qlumin™くるみん』やエアキャップなどが使用されます。さらに、容器の外側には樹脂製の取っ手を取り付けています。これにより、収納された作品を安全に運搬することができるようになっています。

 

今回掲載させていただいた作品の展示会は既に終了しておりますが、2023年7月15日から30日までBunkamura Gallery 8にて開催される企画展『Opening Selection -Bright,Calm,Dark- Vol.3 Dark』にて村上様の作品も展示されます。

 

本記事の掲載にあたり、GALLERY SCENA様、村上仁美様にご協力をいただきました。誠にありがとうございました。

 

 

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・2020年11月18日(水)陶器製のカップ作品を収納する保存容器を製作しました。

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2023年7月5日(水)愛知県長久手市にあるトヨタ博物館にて資料保存の出張講座を行いました。

トヨタ博物館の文化館3階にある図書室は、国内外の自動車に関する書籍、雑誌、カタログ、AV資料を幅広く所蔵しています。その中で、弊社は貴重書に分類される書籍の修理を年々担当していることから、今回の講座のご依頼となりました。

 

講座内容は、事前に要望をお伺いしながら詳細を詰め、当日は4時間にわたり図書室スタッフの方々を対象に行いました。

 

講座では、「治す」「防ぐ」「取り替える」という3つの資料保存の方策の中で、修復の役割や意義について理解していただくとともに、資料の損傷状態に基づいてどの選択肢を選ぶべきかについて説明し、スタッフの皆さんに共通の理解を持っていただくことを重視しました。

 

次に、図書室に所蔵されている雑誌資料の中で、金属綴じの資料への適切な処置方法について学びました。修復に必要な道具や適切な修復材料の選択方法を解説し、具体的な修復処置として、小冊子の金属除去や綴じ直し、本紙の破れの修補まで、専門知識と実践的なスキルを習得していただきました。その他、合本の解体から分冊までの実演、デンプン糊の作製などを行いました。

 

講座の中で、同図書室での資料保存の取り組みや課題についてもお伺いすることができ、私たちにとっても非常に有意義な時間となりました。

 

ご依頼をいただき、誠にありがとうございました。

 

 

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2020年11月11日(水)愛知県長久手市にあるトヨタ博物館様より書籍修理のご依頼をいただきました。

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2023年6月13日(火)中性紙製紙管による大型作品のローリング(巻き取り)保管について

弊社では、中性紙製紙管を、大判の古地図、織物や染織品資料、大型ポスターなどを巻き取り保管するための太巻き用資材として利用しています。

 

非常に大きなシート状の資料は、マップケースや大型の保存箱に平らに広げて保管するのが理想的なのですが、専用の収納具やフォルダを使用してさらに保護する必要があり、特にマウントされていない場合や補強がない場合には、取り扱いによる物理的な破損を受けることがあります。こうした資料は、平らな状態で保存するのには大きすぎるため、紙管に巻き取り、箱へ収納することも一つの解決策です。また、この方法によって保管庫のスペースも有効に利用することができます。

 

今回製作した紙管付きの保存容器には、サイズが約2,100×2,800ミリの鳥の子紙に描かれたペン画作品が収納されます。巨大な作品を、直径の大きくて長い紙管で緩やかに巻き取ることで、作品の皺や折れを最小限に抑えて保存することができます。国内ではこのサイズに対応する紙管が手に入らなかったため、ドイツのKLUG Conservation社から紙管(Tubes)を取り寄せました。紙管は2本を歪みができないよう平行に連結加工し、保存箱には紙管を乗せる軸受けを取り付けています。さらに、上から軸受けを被せ、紙管を360度囲むことによって、箱の中で固定できるよう工夫されています。収納後は綿布団や薄葉紙をあて、全体を包み込むようにして作品を保管します。

 

▶︎ドイツKLUG Conservation社の紙管Tubesについて

ドイツのKLUG Conservation社では、文化財保護用資材として使用される紙管Tubesについて、品質試験であるPATの結果を公開しています。製品ページから品質表をダウンロードすることができます。また、同社では保存箱や紙管の主素材である、紙・ボードのPAT[※1]合格証明書やODDY Test[※2]結果、その他の品質表も公開しており、ユーザーにとっては安心できる情報となっています。

 

KLUG Conservation – Tubes made from conservation board -  

 

[※1] PAT Test(Photographic Activity Test)PATテストは、写真画像に損傷を与える可能性のある材料(紙・ボード、布、接着剤、フィルム、保存資材など)を評価するための試験です。一部の材料は、写真画像と化学反応を起こし、モノクロ・カラー写真の劣化や変色を引き起こす可能性があります。PATテストでは、潜在的にネガティブな反応を示す有害な物資の影響を検査します。もし影響が確認された場合、その材料は不合格となり、写真包材や文化財保護用包材として使用できません。PATは、写真保存材料の品質をテストし検証するために開発された公式なラボ試験です。この試験は米国のImage Permanence Instituteによって設計されました。PATに合格した接着剤などの写真保存製品は、安全であり、時間の経過とともに写真や他の素材への損傷を引き起こすことはありません。したがって、PAT合格製品は信頼できると言えます。

 

Rochester Institute of Technology/IPI – PAT testing –  

PAT(写真活性度試験=Photographic Activity Test)の概要と有用性 -アーカイバル容器の確かな信頼性のために- 

 

[※2] ODDY Test  ODDYテスト(オディテスト)は、1973年に大英博物館の保存科学者アンドリュー・オディによって開発された加速腐食試験です。この試験は、素材(展示、保管に使用される紙、ボード、木、布、発泡体、プラスチック、接着剤など)から発生する可能性のあるオフガス(放出ガス)を予測し、収蔵品に使用しても安全かどうかを判断するためのテストです。ODDYテストでは、収蔵品と密接に接触する素材が長期間にわたって有害な揮発性物質を放出する程度を半定量的に測定し、その素材の適合性を予測することができます。さらに、素材の安定性はImage Permanence Instituteの「A-Dストリップ」を使用してさらに評価することもできます。このストリップは、揮発性有機酸の短期間の放出を測定するために使用されます。

 

米国文化財保存学会(AIC)が提供する情報サイトで、さまざまな素材のODDYテストによる品質試験結果がまとめられています。ODDYテストでは、対象素材を高温恒湿環境で28日間置き、素材から発生する物質やガスが3種類の金属クーポン(銀、銅、鉛)にどのような腐食や変質を引き起こすかを調べます。このテストによって、対象素材が安心して使用できるかどうかが評価されます。結果はP、T、Uの3つの基準で判定されています。

 

P = Pass, Permanent: 長期利用可能(金属クーポンに腐食が見られない)

T = Temporary: 一時的な利用のみ(金属クーポンにわずかな変色や腐食が見られ、変色の膜が形成される)

U = Fail, Unsuitable: 使用不可(金属クーポンに明確な腐食が見られる)

 

AIC Conservation Materials & Materials Testing – Oddy Test Protocols – 

 

▶︎弊社では、強度のある箱や紙製保存箱を作成する際に、合成接着剤や接着テープ、樹脂系部品、紐などの素材を使用しています。保存箱や保存資材は、アーカイバルボードや厚紙(特種東海製紙社製/TTトレーディング社販売品)を主素材に、接着剤やテープなど、他の素材と組み合わせて作られています。これらの箱や資材は、単体、複合材においてODDY testやA-Dストリップテスト結果が良好でPAT合格品です。また、保存箱内の腐食性ガスの影響を測定するために、エコチェッカII(蛍光X線分析専用腐食性ガス測定キット)を使用した品質確認試験を行っています。このキットには、電機・電子機器に一般的に用いられる金属である、銅(Cu)、銀(Ag)、鉄ニッケル(FeNi)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)の金属片がセットされており、一定期間暴露した後に腐食性物質のスクリーニングや金属の変色を観察することで、腐食性物質の有無と種類、ごく低濃度の数ppbの腐食性ガスの影響を定量化し、大気環境の監視、腐食性物質や腐食性ガスの改善を正確に行うことができます。保存箱の内部、収蔵庫、保管倉庫、オフィスなどで長期間保管されている製品において、梱包部材による腐食性ガスの影響や保存箱の内部をテストし、金属クーポンの腐食によって腐食性物質やガスの有無とおおよその腐食度合いを診断し、放散ガスの影響がないことを確認しています。

 

 

 

ユーロフィン社製 蛍光X線分析専用腐食性ガス測定キット - エコチェッカⅡ –

 

 

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・2014年05月16日(金)染織品を中性紙管に巻いたまま収納するための箱 

・2010年3月11日(木)軸受け付き保存容器の制作 

・2020年10月23日(金)絨毯を保管する大型の保存箱を製作しました。

 

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2023年5月19日(金)『獣医学教育用掛図展~獣医解剖学の系譜と本学の教育~』にて、修理を終えた掛図が展示中です

東京都武蔵野市にある日本獣医生命科学大学付属博物館が所蔵する獣医学教育用掛図コレクションのうち、弊社で修理を行った掛図が展示されています。同大学は日本で最初の私立獣医学校として創立された歴史的背景があることから、博物館では大学史関連資料や獣医畜産学の歴史資料の収集・展示に重点を置いて取り組まれています。また、博物館の常設展示のうち自然系展示室では、骨格標本、動物の剥製が展示され、イノシシ・ツキノワグマ・ニホンジカなどの哺乳類や身近な野鳥など、日本の里山に見られる野生動物の、迫力ある展示をご覧いただけます。

 

獣医学教育用掛図コレクションとは、馬、牛等の動物の解剖学的な情報等が描かれている掛図120点(企画展開始当時)からなるコレクションで、代々、獣医学部獣医解剖学研究室に保管されていました。大学史はもちろん、獣医学教育の歴史上でも貴重な歴史資料であるとされ、博物館へ移管されて以降は調査が急がれましたが、カビや虫害、水濡れ痕、煤汚れのような汚損が目立ち、一部の資料は本紙・表装ともに著しい損傷のため開くことが出来ず、調査を進めることが困難な状況でした。こうしたご相談を受けて、弊社では、掛図全点の撮影と調査を行い、資料情報、使用されている描画材、形態、損傷状態等の記録を行いました。この調査結果を受けて、歴史的な重要度が高いものから修理が実施されました。弊社にて修理を行った掛図4点は、掛け軸装から本紙のみを取り出し、ドライ・クリーニング、洗浄、水性脱酸性化処置、裏打ち等の修補を行った後、保存容器へと収納しました。現在は額装され、企画展示室にて展示されています。

 

企画展は5月31日(水)までご覧いただけます。現在は事前予約制となっておりますので、入館方法についてはこちらをご参照ください。また、学芸員の方々による博物館の活動報告、博物館実習の記録、多岐にわたる所蔵資料の詳細な解説をFacebookで見ることが出来ます。その中から、獣医学教育用掛図コレクション関連の記事をご紹介させていただきます。

 

 

【活動日誌6】大学史資料の保存と活用 
【資料紹介2】獣医教育用掛図コレクション 
【活動日誌31】獣医教育用掛図の修復を進めています 
【活動日誌62】獣医教育用掛図の修復が完了しました 
【活動日誌90】掛図の額装 
【学芸員課程レポート】3年生見学実習―作業体験5班 
【活動日誌116】新たな掛図の収集
【活動日誌123】掛図の調査を行います

 

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2022年5月13日(金)戦中掛図資料の修理 
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2023年4月18日(火)大型で重量のある作品の保管に「つづら式保存箱」の改良版を製作しました

つづら式保存箱は、上箱、底箱、側板の3つのパーツで構成される箱で、底箱に立てた側板に上箱を被せる形状です。底箱には紐を貼り付け、上箱で結んで固定します。

 

この保存箱の特徴は、側板を外せば、箱の中に入った作品に360度どの方向からでもアクセスでき、複雑で立体的な作品の取り扱いが簡単にできます。また、収納時は上箱を被せることができるため、大型で重い作品の保管にも適しています。

 

今回、大型作品を覆いそのまま管理できるような保管箱をご依頼いただき、つづら式保存箱をベースに、応用して製作しました。

 

5メートルを超える大型形状のため、側板を取り回しやすいサイズに分割し、収納品の取り出しやすさを確保するとともに、製造の効率化も図りました。また、側板をヒネリ留め具でつなぎ、2重のボードで強度を出すことで、大型作品をしっかりと保管できる強度を確保できます。さらに、ボードをずらして貼り合わせて隙間をなくすことで埃の侵入を防ぎます。最後に、補強した上箱を被せることで、保存箱全体の強度を高めることができます。

 

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つづら式保存箱

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2023年3月29日(水)上智学院ソフィア・アーカイブズ様所蔵の歴史資料「大学紛争ビラ」の保存処置事例

上智学院ソフィア・アーカイブズ様より大学紛争ビラ約3,100枚の保存処置をご依頼いただきました。ビラは上智大学を中心とした学生運動に関係する資料群で、市販の事務用品リフィルに収納され、リングファイルで年代順に整理・保管されていました。全体的に保存状態は良好でしたが、経年劣化によりファイルの樹脂製リングがベタつき、ステープルやクリップなど鉄製の留め具の腐食が進行していました。今後の利用を考慮し、資料の閲覧性をそのままに、長期保存を目的とした保存処置と小環境の整備を行いました。

 

具体的な整理作業に着手する前に状態調査を行い、個々の資料の状態、形態、必要な取り扱いを考慮しつつ、ステープルやクリップ類の金属除去とクロスや刷毛を使い資料に付着したホコリなどの細かい汚れを除去するドライ・クリーニングを行いました。クリーニングを終えた資料は中性紙(リフィル用間紙:収納する資料が曲がらないようサポートし出し入れもしやすくなる。またバインダーの開閉時に資料が摩擦して傷つくことを防ぐ)と一緒に透明リフィル(A4用リフィル)に入れ替え、アーカイバル・バインダーに収納しました。最後に、元の資料番号を印字したラベルをバインダー内のインデックスシートとアーカイバル・バインダー本体に貼付しました。

 

この度の事例掲載にあたり、上智学院ソフィア・アーカイブズの後藤様、大塚様にご協力をいただきました。誠にありがとうございました。

 

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・2017年10月11日(水) 資料のファイルと保存処置が同時にできるアーカイバル・バインダーの容量を拡大した改良品を開発中です。

・2018年12月5日(水)東京都美術館様のアルバム貼付写真6,650枚への保存手当てを承りました。

・2019年4月17日(水)バインダー内の分類や仕切りに最適なタブ付きインデックスシート。

・2020年1月22日(水)オプションサービス「ラベル作製・貼付」のご紹介

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2023年3月10日(金)資料内非公開ページのマスキングをGasQシートで -東京大学文書館様の事例から-

アーカイブ資料を扱う機関様では、個人情報等の非公開情報が含まれている箇所に非公開処理−マスキング(袋掛け)−が施されます。マスキングにはさまざまな方法があり、代表的なものとしては、中性紙封筒を利用し本文と一緒に綴じる方法や紙製クリップを使う方法がありますが、解綴・再製本の必要性が生じたり、また資料にわずかでも負荷を与える可能性があったり、それぞれに特色があります。マスキングは基本ページ単位で行われますが、東京大学文書館様では、約5㎝巾の短冊状にカットした不織布シートGasQ®を該当ページに巻き付ける方法を採用されています。もともと北海道立文書館様での和紙素材を使用した短冊のアイデアをアレンジなさったそうです。

「GasQ®」の短冊に、スタンプや鉛筆で必要情報を記載し、それを該当ページに巻き付けます。短冊の片側の端は、書架で目に付くように天小口から飛び出させ、反対の端は天小口側で折り返します。重なりを持たせて折り返すことで短冊が留まり、糊や粘着テープなどで貼る必要はありません。不織布シートですので資料への当たりが柔らかく、手間なくコンパクトに行えます。
本事例の掲載にあたり、東京大学文書館 秋山様にご協力いただきました。誠にありがとうございました。

 

【関連商品】
汚染ガス吸着シートGasQ®ガスキュウ 

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2023年2月3日(金)大型のカッティングプロッターを導入しました

昨年秋の事務所移転に合わせて、新しいカッティングプロッターを導入しました。弊社工房の事情に合わせた省スペースの縦型「スタンドタイプ」で、設置面積は平型タイプの約3分の1とコンパクト。今までのカッティングプロッターでは加工ができなかった強化ダンボールをはじめプラスチックボードやフォーム材、薄い紙など、さまざまな材料の加工ができるカット性能を備えたモデルです。保存箱の設計図をつくるためのCADソフトも操作性がよく扱いやすいソフトに変えました。

 

保存箱の原材料であるアーカイバルボード(特種東海製紙社製造/TTトレーディング社販売品)は、一般の段ボールに比べ強度がある反面、カッティングプロッターのような機械で加工をする際に、室内の湿度条件によっては罫線ライン(箱の折り筋)が割れやすくなる、といった加工上の難点があります。日中に低湿度になる季節は、ボードの罫線割れによる不良カット品や資材ロスが一定量発生してしまい、寸法精度が問われる仕事ゆえにその手直しや品質管理に対策が必要でした。

 

この問題をクリアするため、今回導入した機械の罫線ツールは弊社で指定した形状で特注製作しました。標準装備の一般段ボール用罫線ツールと特注した罫線ツールを使って、それぞれ同じ圧力で加工をしたアーカイバルボードを比較すると、標準ツールを使ったボードは表面が割れていますが、特注の罫線ツールで加工をした方は割れのない折り筋がついています。新型機械の導入でボードの割れによる資材ロスが削減され、保存容器組み立ての作業性も向上する事ができました。

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2023年1月4日(水)あけましておめでとうございます。

謹んで新年のお慶びを申し上げます
皆様のおかげで弊社は新事務所にて新しい年を迎えることができました。旧年中に賜りましたご厚情に篤く御礼申し上げます。

 

本年もスタッフ一同一丸となって技術・サービスの向上に努めて参りますので、より一層のご支援、お引立てを賜りますようお願い申し上げます。

 

本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

🐇新年のご挨拶状と手拭いは「干支卯」をモチーフにイラストレーターYuzukoさんにデザインしていただきました。お正月の玄関飾りはご近所のお花屋さん「蒼い樹」さんにご用意していただいた一点もので、気持ち新たな一年のはじまりを彩ってくれます。

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2022年12月28日(水)本年もお世話になりました。

年の瀬も迫り、2022年も残りわずかとなりました。資料保存器材は本日が仕事納め。皆で大掃除が恒例行事となっています。工房も気持ちもきれいに整え1年を締めくくります。

 

今年も1年間、弊社ブログをご覧いただき、ありがとうございました。来年も資料保存に関する私どもの取り組みの様子を発信してまいりますので、ご覧いただければ幸いです。

 

どうかみなさま、よいお年をお過ごしください。

 

 

年内(2022年)は12月28日(水)17時まで営業、
新年(2023年)は1月4日(水)より通常営業いたします。

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2022年12月5日(月)自重のある書籍の本文を支える簡易型ブックシュー

日本体育大学図書館様よりハードカバー製本の図録の修理を承りました。この書籍の本文紙は厚手のコート紙で、自らの重みで前小口側に中身が垂れ下がることにより、ヒンジや見返しノド元に負荷がかかり、背表紙が裂け表紙ボードも変形していました。修理としては、表紙と背表紙を本体から外し、背固めをし直し、表紙と背表紙を本体に再接合する処置を行いました。
 
表紙は本体を保護するため「チリ」を設けて作られることがあります。チリ高が大きく本文紙の自重がある大型本やコート紙の本などは、中身が沈んでしまい、そのまま放置しておくと、表装材の裂けや綴じ糸の切断、地側表紙ボードの変形などが次々と発生することになります。このような現象に対して用いられるのが「ブックシュー(book shoe)」といわれるもので、チリ高に合わせたボードを本体の地に添わせることで前述の現象を未然に防ぐものとなります。
 
今回、修理をした図録の再配架にあたり、中性紙ボードで作成したブックシューの簡易型パーツを添えました。ブックシューよりも簡易的なものですが、これを本の下部に設置することで中身の沈み込みを防ぐことができます。(弊社では誰にでも作成でき簡単に着脱できることからslip-on shoeスリッポンシューと呼んでいます)。このパーツの材料は、本体の厚み(束)の幅にカットした3mm厚のアーカイバルボード1枚と、薄い中性紙1枚(A4サイズの本の場合A4の中性紙)のみです。添え方は、本の地側にボードを当て、中性紙をおもて表紙とうら表紙の内側に挟み、ボードに沿わせて折り目を付け、そのまま表紙を閉じればシューの装着完了です。縦置きされた大型書籍などは、損傷が起きる前にこうしたパーツを装着することで前述の現象を未然に防ぐことができます。予防的保存処置としてとても有用ですので是非お試しください。
 
本事例の掲載にあたり、日本体育大学図書館様にご協力いただきました。誠にありがとうございました。
 
【関連記事】
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・2016年10月26日 ブック・シュー・スタンドの事例
・2014年04月17日 ブック・シュー内蔵保存箱の事例
 

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2022年11月22日(火)教育掛図資料の修理

東京大学大学院教育学研究科・教育学部図書室様より、教育掛図約160枚の状態調査をご依頼いただき、その後2年をかけて総数139枚の資料に対して修理を行いました。
 
教育掛図は、明治以降、新しい教育の始まりを象徴する教材のひとつとして普及し、教室の壁や黒板に掲げて使用されました。江戸時代までの教育現場、いわゆる寺子屋では「読み・書き・算盤」が中心となり、往来物をはじめとする教科書などをそれぞれが持ち、各自に合わせた個別指導だったといわれています。その後明治政府により文部省が設けられ、学校教育の制度化が進んで一斉授業形式が始まると、教育掛図は中心的な視覚教材となりました。しかし、大型で取り扱いにくいため傷みやすく、あくまで備品的な役割だったこともあり破損したものは破棄されてしまうなど、残っているものは少ないといわれています。
 
事前の状態調査では、全枚数の確認と付番、タイトル・描写内容の抽出、形態やサイズ等の資料情報および損傷状態の記録、撮影を行った後、1枚ずつ新薄葉紙Qlumin™くるみんに包んで保護し、一旦ご返却しました。その後、図書室様による対象資料の選別が行われた後、再度お預かりして処置を実施しました。
 
調査前の掛図は、数十枚の資料を束ねたものが10点ほどあり、巻いて紐で縛られていたり、細い筒に入っていたため、強い巻き癖がついていました。また、紙端が潰れて破れや折れが生じ、巻きを開いてみると大きく欠損しているものも多数見受けられました。外観の汚れだけでなく、巻きの内側に入り込んだ塵埃による汚損も目立つ状態でした。
 
これらの資料に対して、クリーニングスポンジやクロス、刷毛を用いたドライ・クリーニング、フラットニング処置による折れや巻き癖の伸展、破れの修補や欠損箇所の補填を行い補強しました。その後、撮影業者によるデジタルデータの作成を行いました。
 
撮影後の資料は、非水性脱酸性化処置を行った後、今後繰り返し利用される際にも資料を傷めることなく、かつ、大型の掛図でも扱いやすいようにフィルム・エンキャプシュレーションを行い、アーカイバル容器「台差し箱フラップ付き」へ収納しました。平置きが難しい大きな掛図については、ロール・エンキャプシュレーションを行い、巻いて「巻子用台差し箱」へ収納しました。
  
【関連記事】
2022年5月13日(金)戦中掛図資料の修理

【参考文献】
牧野由理、有賀暢迪(2020)「教育掛図《小学用博物図》の研究:天野皎と明治初期大阪の教育・出版文化」,国立科学博物館研究報告 E類(理工学),第43巻 

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2022年11月2日(水)本社移転完了及び営業開始のご案内

資料保存器材は2022年10月26日に本社を文京区本郷に移転して、新オフィスで業務をスタートしました。移転休業期間中は、皆様にご不便をおかけしましたことをお詫び申し上げます。 スタッフ一同新たな気持ちで業務のクオリティとサービスの向上に努め邁進してまいりますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 

新オフィスの地図はこちらです。(PDF)

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2022年10月4日(火)「シン・修復のお仕事展」2022が開催されます。

2018年に10回の節目を迎えて終了した「修復のお仕事展」が、芸工展30回の記念に1度だけ「シン・修復のお仕事展」として復活開催することとなりました。

 

「修復のお仕事展」は分野の違う文化財修復技術者が集まり、それぞれの仕事内容を発表する企画です。毎年10月に「まちじゅうが展覧会場」をキーワードに、谷中・根津・千駄木・日暮里・上野桜木・池之端界隈を舞台に開催される「芸工展」に合わせ、谷中の旧平櫛田中邸アトリエで開催されてきました。

 

「シン・修復のお仕事展」2022 開催案内より

 

今回は、各分野の仕事を、それぞれポスター1枚に分かりやすくまとめたものを展示いたします。これは、ミュージアムや学校への出張展示を視野に入れた「持ち運べる展示物」であり、文化財修復の教育普及活動へ向けた試みでもあります。そして、2020年に急逝された、お仕事展仲間の考古学者・原祐一さんの回顧展も併せて開催します。

 

「シン・修復のお仕事展」実行委員会

 

芸工展についてはこちら→ https://www.geikoten.net/

 

 

会期は10月9日(日)~10月16日(日) 11:00~17:00(最終日は16:00まで)

 

弊社も修復・保存箱のポスターパネルを展示いたします。私たちの仕事や活動を一般の方々に紹介する機会はあまりないので、興味ある方はぜひお出かけ下さい。会場の旧・平櫛田中邸は大正時代に建てられたアトリエで通常は非公開です。

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2022年9月2日(金)大倉精神文化研究所附属図書館様所蔵 貴重和装本に対する保存手当て

大倉精神文化研究所は、1932年(昭和7年)に、実業家である大倉邦彦氏が私財を投じて設立しました。附属図書館は同時にオープンした精神文化の専門図書館です。哲学・宗教・歴史・文学などを中心に、10万6千冊を収集・保存しており、そのうち約4万冊が、附属図書館が誇る貴重コレクション。古文書をはじめとする和装本や、研究所の開設に先立ち大正末から昭和初期に欧州で購入された洋書、大倉氏と親交のあった著名人より寄贈されたものなど多岐にわたります。専門的図書館機能をもった公共図書館として、多くの資料が広く一般に公開され、館内で閲覧できます。また、2022年4月9日には開館90周年を迎え、横浜市の指定有形文化財にも指定されている美しい洋館内にあり、開館当時の什器類などを現在も使い続けるという伝統ある図書館です。

 

研究所について:https://www.okuraken.or.jp/study/
図書館紹介:https://www.okuraken.or.jp/library/about/
貴重コレクション:https://www.okuraken.or.jp/library/collection/

 

今回、附属図書館様より名古屋大周寺文庫全4,056冊の保存相談を受けました。文庫のほとんどが江戸初期から明治初期の仏教関係の木版本で、ボール紙製の簡易帙に納められていました。簡易帙には金属製の留め具がついており、この留め具の厚みが影響して書架の収納効率を下げ、また、本と本の間にできる隙間にチリやほこりが溜まりやすくなっている状態でした。文庫の保存対応については、既存の簡易帙を活かし、スペースも有効活用したいというご要望から、資料のドライ・クリーニングを行い組み立て式棚はめ込み箱へ収納する方法を提案しました。

 

クリーニング作業は、ブラシノズルを装着したHEPAフィルター付き掃除機とクリーニングクロスを使い、資料の外装(表紙、背表紙、裏表紙、天地、前小口)と見返しについたチリやほこりを丁寧に除去しました。簡易帙の留め具箇所は錆が発生しており、また、スペースを圧縮したいというお客様のご希望もあり、カッターで裁ち落としたのちクリーニングしました。スチール棚の汚れは消毒用エタノールを含ませたペーパータオルで拭き取って清掃しました。全73段分に棚はめ込み箱を設置し、元の順番通りに資料を再配架しました。

 

この度の事例掲載にあたり、公益財団法人大倉精神文化研究所附属図書館様よりご協力をいただきました。誠にありがとうございました。

 

【関連記事】
『スタッフのチカラ』
・2015年12月2日 資料に付着した汚れやカビのドライ・クリーニング

・2010年10月27日 衆議院議事部議案課様所蔵資料へのクリーニング、綴じ直し、保存容器への収納事例

 

『今日の工房』
・2019年6月19日(水)共立女子大学図書館様の貴重書1900点のカビ被害のクリーニングから保存容器収納まで

・2021年7月19日(月)横浜英和学院様所蔵の卒業アルバムのドライクリーニング、保存容器への収納

・2022年2月18日(金)早稲田大学中央図書館様での組み立て式棚はめ込み箱の設置事例

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2022年8月4日(木)暑中お見舞い申し上げます

お客様へお届けする暑中お見舞いの手拭いが完成しました。
今年は淡いむらさき色の手拭いに、夏雲の挨拶状を添えてお送りします。

 

七十二候は「大雨時行(たいうときどきふる)」の頃。晴れた青空に入道雲がわきあがり、時には夏の雨が激しく降る、コントラストの強い季節です。むらさき色も赤と青という対照的な印象の2色が混ざり合ってできる色。色味によっていろいろな表情を見せるむらさき色ですが、夏らしい明るく爽やかな手拭いに仕上がりました。
暑い日にも、急な雨の時にもお使いいただければという思いを込めてお届けします。

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2022年7月26日(火)資料形態や用途に合わせ4種類の素材から選べる二つ折りフォルダー

版画・素描・写真プリント・ポスター・チラシ・生原稿など1枚物の紙資料や、写真フィルム・テキスタイルなど薄手の資料を挟み込んで保管をするための二つ折りフォルダー。資料を重ねて保管する際の表面保護の役割はもちろん、閲覧などで1点ずつ利用する際には資料に触れずに安全に持ち運ぶことができます。フォルダーは用途に合わせて以下の4種類の素材からお選びいただけます。

 

書類や原稿などの一般紙資料用には、弱アルカリ紙のフォルダーを2種類の厚みから選択できます。薄口のAFプロテクトH104.7g/㎡(厚み0.13mm)は保存封筒に使用されている紙で、比較的軽めの資料を挟み込む場合や、収納後に厚みを出したくない場合に利用ください。厚口のAFプロテクトH209.4g/㎡(厚み0.26mm)は紙面にダメージがある資料用など、より安全に取り扱う必要がある場合にお勧めします。

 

アルカリに敏感な、写真(フィルム・プリント)、青焼き図面、テキスタイル(染色品・ウール・シルク)などの資料用には、アルカリを含まないノンバッファ紙のフォルダーを使用ください。薄口のピュアガード120(厚み0.15mm)は写真用封筒などに使われています。厚口の3F(厚み0.8mm)は画用紙ほどの厚みがあるため、大判の紙資料なども安全に持ち運ぶことができます。

 

定型品はA4用・B4用・A3用の3種類のサイズがあります。仕様と価格は商品ページでご確認ください。定型品は各サイズの定型封筒へ収納ができます。また、定型品以外のオーダーサイズも各種素材で製作可能です。

 

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2022年7月11日(月)国立映画アーカイブ様所蔵 アルバム「忠臣蔵」2点の修理

日本で唯一の国立映画専門機関である国立映画アーカイブは国内外の(デジタル作品を含む)映画及び図書などの映画関連資料を所蔵しており、関連資料についてはノンフィルム資料ともいわれ、ポスターやシナリオ(台本)、スチル写真、プレス資料、技術資料など多岐にわたります。
(詳しい所蔵内容については、こちらをご参照ください。)

 

今回、国立映画アーカイブ様より修理のご依頼をいただいたアルバム「忠臣蔵」2点は、日本最初の映画スター尾上松之助が主演した『忠臣藏 天の巻 人の巻 地の巻』(1926年、日活製作、池田富保監督)のスチル写真やスナップ写真からなるアルバム(2冊で計183点の写真を収める)で、松之助を顕彰する京都の団体「尾上松之助遺品保存会」からのご寄贈品とのことです。

 

アルバムは平綴じで角裂が付いた和装丁の構造で、表装の擦れやヒンジ部の台紙を繋いでいるクロスの剥がれなどが見られました。また、貼付されている写真は、酸性台紙の影響による銀鏡化や閉じた際に向かい合う写真どうしが固着し、画像面の一部が損傷しているものが見られました。今回はオリジナルの表装を活かしつつ、写真の劣化予防のために台紙の脱酸性化処置を行う方針で処置を進めました。

 

まず、綴じを外して解体し、台紙の脱酸性化処置に備えて、貼付されている写真すべてを一旦台紙から剥しました。写真は裏面全体に糊付けされており、台紙と写真の隙間がまったくなかったため、写真の周りに切り込みを入れ、そこにヘラを差し込み台紙から剥していきました。その後、台紙ヒンジ部のクロスの剥がれなどを糊止めした後、Bookkeeper法による非水性脱酸性化処置を行いました(処置前:平均pH4.7、処置後:平均pH7.8)。剥した写真は元の位置に貼り戻し、元の装丁に仕立て直した後、写真同士の接触を防ぐため、間紙を挟み込んで仕上げました。

 

この度の事例掲載にあたり、国立映画アーカイブ岡田秀則様より掲載のご協力をいただきました。誠にありがとうございました。

 

 

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2022年7月1日(金)文豪・泉鏡花の兎(うさぎ)コレクションを収納する保存箱を作製しました。

慶應義塾大学三田メディアセンター(慶應義塾図書館)様では、泉鏡花の自筆原稿・遺品を多数所蔵しており、今回は、そのなかから泉鏡花の兎コレクションを収納する保存箱をご依頼いただきました。

 

鏡花は自身の干支(酉)の向かい干支である兎(卯)の置物を愛し生涯に渡って蒐集しました。そのきっかけは、幼少のときに母親からもらった水晶の兎だそうです。向かい干支にまつわるものを身の回りに置くと縁起がいいという言い伝えから、置物や玩具などの物に留まらず、身に着ける着物の帯に兎柄をいれるほど徹底していたそうです。

 

■泉鏡花が憑かれたように集めた兎の置物【文士の逸品No.16】2018/4/19 サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイトより
https://serai.jp/hobby/302443

 

兎の置物は陶磁器、張り子、竹細工など、いろいろな材料が用いられており、薄葉紙に包まれ一つの箱にまとめて収納されていました。

 

保存箱として、兎の置物を個別に収納するための仕切り付き台差し箱と、コレクションをまとめて収納するための被せ箱を製作しました。個々の兎は、和紙の揉み紙のように揉みこんで柔らかい布地のようにした新薄葉紙Qlumin™くるみんで包み、各部屋へ収納しました。部屋の隙間にもクッションのように使用しています。箱の床面には緩衝材としてプラスタゾートを敷いています。

 

本事例の掲載にあたり、慶應義塾大学三田メディアセンタースペシャルコレクション担当の倉持隆様、竹内美樹様に多大なるご協力をいただきました。誠にありがとうございました。

 

 

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