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週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。
2016年6月8日(水)スチール製キャビネットの引き出し専用収納箱を東京文化財研究所に
東京文化財研究所 企画情報部様からのご依頼を受け、スチール製キャビネットの引き出し専用の収納箱を作成した。既存のプラスチック製仕切り板は、資料の荷重によって湾曲し、出し入れがしづらい状態だった。そこで、箱の内寸に対し仕切り板の幅を大きくとり、スリットに差し込む時に外れにくく、資料がよりかかってもしっかりと支えられる構造にした。既存の引き出しの奥行きや幅に合わせて設計されているため、スペースを有効に使えるようになり、また検索しやすくなったことで出し入れも安全に行えるようなった。
2016年5月18日(水)ラベルを定位置にきれいに貼るための簡単な治具
保存容器などにラベルを貼る際は、「蓋の中央」「下から1cm」というように、位置を正確に決めて貼りたい。特に複数の容器に貼る際には、並べた時にラベルの位置が揃っていると、見た目もきれいである。とはいえ、貼るたびに定規を当てて印をつけて、というのも面倒なもの。そんな時は専用の治具を作ると便利である。治具は、大きさの違う板紙を2枚貼り合わせたもので、裏面にくる段差を箱の縁にあてて使う。シンプルで使い勝手が良く、簡単に作ることができるので、ラベル貼りにお困りの方はぜひお試しください。
【例:端から1cmのところにラベルを貼るための治具】
○材料
・硬い板紙 または アクリル板
・両面テープ または のり
○作り方
① 板紙から扱いやすい大きさの四角形を2つ切り出す。片方の一辺は1cm短くする。
(例)4×4cmと4×3cm
② 両面テープで貼り合わせる。
関連情報
2016年4月20日(水) 早稲田大学演劇博物館の森律子等身大人形のコンテナ型保存箱。
早稲田大学演劇博物館様所蔵「森律子等身大人形」(資料番号04040)を収納するコンテナ型保存箱。森律子(1890-1961)は最初期のスター女優。コンテナの蓋は人形を出し入れする際に邪魔にならないように、前面はめ込み蓋になっている。身と蓋はマジックテープで固定する仕組みで、取り外しが簡単。足元の土台に合わせて固定用スペーサーを設置しており、人形本体が内壁に接触しない構造になっている。
2016年3月23日(水) 茶道具の風炉先屏風を木箱ごと収納する差し込み箱
都内のある美術館様からのご依頼で、風炉先屏風を収納する保存容器を作成した。この屏風は、茶の湯で茶室と道具畳の向こうを囲む茶道具の一つである。屏風は木箱に収められており、これまでは木箱をエアキャップにつつみ、輸送に使用した茶色の段ボールに収納されていた。ご担当者様より「1箱に複数の木箱(屏風)を収納するため、利用頻度の高い木箱(屏風)の出し入れが容易な箱を」との希望をいただき「差し込み箱」を提案した。出し入れの際の摩耗の抑制と重量補強用に床面にポリプロピレン製のボードを設置した。
2016年3月9日(水) ゲームソフトのフロッピー、テープ、CDを保存するには。
NPOゲーム保存協会様からのご依頼で磁気ディスク用(3.5インチFD、カセットテープ、5.25インチFD)、CDなどのゲーム資料の保存容器を作成した。ゲーム資料は複数の異なる素材から構成されている。例えばゲームソフトであれば、フロッピーやテープなどのデータを記録した媒体とともに、プラスチック製のケース、紙に印刷されたマニュアルや外カバーがあり、これらも大事な資料である。こうした資料は、構成素材や環境要因が複合的に影響することで劣化が進んでしまう。ゲーム保存協会では、資料を素材ごとに分離し、各々適した方法で、環境や素材からの腐食性ガスを吸着し、温湿度の急激な変化がない、涼しく乾燥した場所(温度20℃以下/湿度50%RH以下)でメディアを保管している。保存容器は酢酸他のVOCを吸着する汚染ガス吸着シートGasQ®を組み込んだ新きりなみ仕様。ガス吸着機能とともに、容器内の相対湿度を安定させる調湿効果を発揮し、環境要因からくる収納物の劣化を最大限に抑制できる。
2016年2月24日(水) 映像フィルムの劣化要因「ビネガーシンドローム」と、劣化の進行を低減できる保存容器。
映像フィルム用のシェルボックス。写真や映画の撮影フィルムのうち、特にアセテートベースの物は密閉性の高い容器に入れて長期保管すると、酢酸を放出し、それが再びフィルムに吸着することで加速的に劣化が進む「ビネガーシンドローム」が起きる。映像フィルムの長期保存には低温低湿に管理された保管環境が不可欠だが、収納する容器内に酢酸を充満させないことも重要だ。 ある程度の通気性があるアーカイバルボード製の保存容器に入れ、さらに容器の底に交換可能な汚染ガス吸着シート「GasQガスキュウ」を敷く事で、より効果的に劣化の進行を低減できる。付属の下敷きボードは、中心の突起がフィルムコアの穴にぴったりとはまり、固定できる構造だ。また、古くなったコアは抜いて保管する場合には、フィルムの内径に合わせた円盤スペーサーを取り付ける。
2016年1月22日(金) 日本郵船歴史博物館様の絵画の収蔵環境を保存容器とガス吸着シートで改善
日本郵船歴史博物館様から収蔵庫環境をより良くするため、絵画84点用の保存箱製作のご依頼があった(以前の船体模型用保存箱の事例はこちら)。これまでは、剥き身、エアキャップ梱包、酸性の茶段ボール製の箱で収納されていた。今回用意した箱は、資料一点ずつのサイズに合わせた差し込み箱。空気中の汚染ガスから資料を守るためだけでなく、木製の額から発生する酢酸などの汚染ガスへの対処として、一点ずつGasQで包んでから箱に収納した。箱にすることで自立しやすくなり、以前よりも省スペースでの収蔵と容易な出し入れが可能となった。ご担当者様からは「これまで感じていた酸性紙特有の甘酸っぱい匂いがなくなった」と評価いただいた。
2015年12月9日(水) 汚染ガス吸着シートGasQ、定型の断裁品も発売
2013年の発売以来ご好評をいただいている汚染ガス吸着シートGasQに、定型の断裁品が登場しました。
従来の幅1100mm×50m巻ロール品に加え、1100×800mmの断裁品(100枚入り)が新発売となり、これまで特注品としてのお取り扱いしかなかった断裁品をより安価にお求めいただけるようになりました。カットや加工もしやすく手軽に資料を包むことができるほか、保存容器や棚、展示ケースなどに敷くなど用途もさまざまです。これまでのロール品と併せてご活用ください。
なお、枚数がまとまれば、ご希望のサイズの断裁品も提供いたします。ご相談ください。
GasQ断裁品(定型サイズ)
1100×800mm 100枚入り 38,000円(税抜き)
2015年11月5日(木)芝浦工大豊洲図書館様の鉄道切符コレクションを特注保存容器に
芝浦工業大学豊洲図書館様のご依頼で鉄道切符収納用の保存容器を作成した。芝浦工業大学は、併設校である芝浦工業大学中学高等学校が東京鐵道中学をその前身として鉄道との関わりが深く、2013年度から鉄道資料をコレクションとして収集されている。図書館で整備された鉄道資料の一部は、2017年4月、新豊洲に移転・開校する中学高等学校内のギャラリーに展示、収蔵される予定。
容器は当初、バインダータイプを提案していたが、切符の数が多く総数が数万枚以上あるため、収納を優先し切符のサイズに合わせて分類用の仕切りを設けた台差し箱を提案した 。またバラ板紙やボール紙で作られた古い切符の酸性劣化の抑制と外部からのVocの影響を抑えるため、容器内部に汚染ガス吸着シートGasQ®を組みこんだ。
2015年09月16日(水) 日本刀の容器。複数を任意の位置で収納できるように工夫が。
日本刀の保存容器。刀掛けに飾る時のように、刃を上に向けて保管できる受け台を設けた。受け台は刀を先端と柄の2点で支えるよう、任意の位置で刀の長さや形状に合わせて設置ができる。1箱に複数の刀を納める構造にもできるため、拵えと白鞘をまとめて収納する場合にもお互いに干渉せずに保管できる。
2015年09月03日(木) 木箱からの移し替え—屏風を入れるスロット付き差し込み箱
東洋大学井上円了研究センター様所蔵の屏風(長辺1,740×短辺640×厚み110ミリ)の容器として、1箱につき屏風1隻を収納するスロット加工(差し込み箱)を2箱納めた。(以前の同大学様での屏風収納事例はコチラ)
使用素材の品質が不確かな木箱は、木材や接着剤から発生する酸性ガスにより収納した資料が汚染されることが分かっている。更に、相対湿度の変化によって箱が歪むことで蓋が外せなくなったり、割れが生じることがある。そのため、弊社では木箱からアーカイバル容器への移し替えを推奨している。また、今回は木材が虫の棲み家となり、収蔵庫全体への汚染も懸念されていた。
天地のスロット加工により、内側で屏風の描画面が箱に接触することでの擦れが生じず、出し入れが容易である。また、安全かつ容易な移動を可能とするために平紐を付けた。長期保存に適しているだけでなく、その後の展示や貸し出しなどの利用時のリスク低減にも配慮したアーカイバル容器になっている。
2015年08月26日(水) 壊れやすいスリップケースと本を一緒に収める保存容器
スリップケースの修理と保管方法のご提案。本に付属するスリップケースは利用や経年劣化により、元と同じように本を差し込むかたちでの利用が困難となっている場合がある。だが、貴重な付属資料として本と共に保管したいとのご要望を客様から頂くことが多い。弊社では、スリップケースの形を維持できるよう修補・補強した後はケースとしての利用は控えていただき、本とケースが散逸しないよう一つの保存容器に収めて、保管する方法をご提案している。ケースの中には変形防止のため、本のサイズで作ったスペーサーを入れている。
2015年08月05日(水) 歴代の校章バッジの保管方法。スライドマウント用透明ファイルとGasQの組み合わせで。
歴代の「校章バッジ」の保管についてご相談を受け方法を考案した。大量にあるバッジの整理・保管にはスライドマウント用のフィルムプリザーバーとアーカイバルバインダーでファイリングした。金属製のバッジは保管雰囲気中の湿気や汚染ガスが影響し表面にくすみや錆びが生じる。その対策としてプリザーバーのポケットにGasQガスキュウ®を差し込んだ。バッジは台紙に留め収納する。特に貴重なバッジについては今後展示される用途があるため、ポリエステルフィルムの窓が付いた箱に収納し、そのまま展示ができるようにした。
2015年07月22日(水) スリムフォルダーに指かけ穴を。開閉がよりスムーズになりました。
昨年発売しご好評を頂いているスリムフォルダーが新しくなりました。今までのスリムフォルダーは、蓋がしっかり差込口にかみ合って閉まるため、開けるときに固さを感じることがありました。これを解消するため、新たに指かけ穴を作り、片手でもスムーズに開けるようになりました。今後御注文頂くお客様には、このデザインでお届けいたします。ぜひお試しください。
2015年07月15日(水) 国立音楽大学様のリング式卒業アルバムの保存手当て
国立音楽大学校史資料室様よりお預かりした卒業アルバム 「國立音樂大學 昭和33年3月第3回卒業」への手当て。プラスチック製のリング式アルバムで、写真が貼られている台紙は酸性度が高く、綴じ穴付近には亀裂が起きている。台紙は、めくりによる破損を防ぐためリングから取り外した。写真に対しては劣化予防処置として、一時的に剥がして台紙を脱酸性化処置した後、貼り戻し、画像表面の保護のため間紙を挟み込んだ。台紙はまとめて中性紙で包み、リングにつけたままのおもて・うら表紙の間に挟んで、保存容器に収納。外見上はリング式アルバムの形態を残しつつ、安全に資料を保管・取り扱いできるようになった。
2015年07月08日(水) 最適なアーカイバル容器作成は正確な資料の計測から
弊社ではアーカイバル容器の製作にあたって、ご依頼があれば弊社スタッフが出張し資料の採寸作業を承っております。書籍はもちろん複雑な形状の造形物も、自社開発の採寸道具を使用してミリ単位で正確に計測いたします。寸法はタブレットに入力し、お客様ご希望の容器の形状や、壊れやすい資料の収納方法等の特記事項も記録します。採寸データを元に保護性と利便性を熟慮し、最適なアーカイバル容器をお見積りします。「容器に入れたい資料が大量にある」「サイズの大きい立体物がある」などご自身での計測が難しい場合も、是非ご相談下さい。
2015年06月17日(水) 歴代延岡藩主の印章を保管するー多様な素材と形にシンク式容器とGasQ®で対応
明治大学博物館様のご依頼で印章を収納する保存箱を作成した。収納される資料は江戸時代の延岡藩主、内藤家が残した5万点に及ぶ資料のうち、歴代藩主の印章を中心とした印章群「内藤家伝来印章資料」である。
1箱に7顆から60顆の印章を収納し付属のガラス製の扉のついた木箱も同梱する保存箱。収蔵庫のラックのサイズに合わせるため、収納数の多い保存箱は重箱のように積層した。印章の素材は木や石、金属など多彩で、腐食や変色の要因となる汚染ガス対策と、移動時の振動や衝撃の保護のため従来の薄葉紙の代わりに GasQガスキュウ® を印章や木箱のサイズに合わせて断裁し、凹凸の多い印章と木箱をやさしく包んだ。
関連情報
スタッフのチカラ 2011年10月21日
明治大学博物館様所蔵「時田昌瑞ことわざコレクション」いろはカルタの収納事例
2015年04月15日(水) 日本航空史を語るグライダー部品用の大型保存箱を東京文化財研究所に
東京文化財研究所 保存修復科学センター 近代文化遺産研究室様からのご依頼を受け大型保存箱を作成した。収納される資料は、同研究所と財団法人日本航空協会様との共同研究「航空資料保存の研究」のため、研究所に収蔵されているグライダーの部品類(水平尾翼、主翼の一部、方向蛇)。日本の航空史を物語る貴重な資料として現在調査・保存処置などを実施している。
全長が3メートルを超える長尺の箱は歪みが生じないよう堅牢な作りに。また巨大な湾曲形状の翼をしっかり支えられるように弾力のある綿布団を作成し土台に組み込んだ。絵画や木製彫刻、陶芸品などの美術工芸品の収納・保管に使う綿布団は、外部からの衝撃や振動を和らげるだけでなく、立体面のカーブ、凹凸など、ものの形状に合わせ包み込むように支えるため、箱内部で文化財を安定させる。コットンライクな柔軟性とクッション性を持ち、部分的に入れるだけでも充分に固定できる。綿と表面の不織布は不活性の100%ポリエステル製。緩衝材としての機能を維持しつつ、文化財の長期保存に適した素材を使用している。
2015年04月01日(水) 2双の屏風をコンパクトに収納。東洋大学井上円了記念博物館様向け保存容器の事例
東洋大学井上円了記念博物館は、東洋大学内に設置され、大学の歴史資料を保存展示しており、学祖井上円了の建学の精神を学内外に広める役割を担っている。今回、質も損傷度合いも悪い木箱に収納されている屏風用に、アーカイバル容器の製作依頼があった。屏風サイズに合わせるだけでなく、新収蔵庫のデッドスペースを有効活用するという命題もあった。
これまでは、屏風1隻につき1箱を作製していたが、2双まとめて収納できるようにした。資料の取り出し及び現状確認が容易にできるよう、蓋は前面パネル式とし完全に取り外せるようにした。また、地震などの振動で勝手に開くことがないよう、マジックテープでの固定式とした。上げ底にもすることで、地面から吹き上げられた埃の侵入を大幅に抑えることができる。
元から備え付けられた什器のように、周りとの違和感もなく、資料にも隙間にもピッタリの保存容器ができた。元の木製の箱が排除されたことで環境も整備され、また、スペースも生まれたことでよりよい収蔵庫環境となった。
2015年03月27日(金) 無酸素パックの大型タイプを開発—-段ボール4箱をそのままパックして安全に殺虫
「無酸素パック Moldenybeモルデナイベ®」の大型タイプを開発した。図書や文書向けの従来サイズ(40L:ほぼ段ボール箱ひとつの容積)に比べ容積は約10倍(450L)。茶段ボール製文書箱や中性文書保存箱を積み重ねて密封できるので、資料の移送時や受け入れ時に箱ごとまとめて、また民具資料、博物資料、遺物等、大型の文化財も、容積内ならば簡単に無酸素殺虫処理ができる。袋の中には脱酸素剤を入れるだけで、他の化学薬剤を使用せず、なおかつ材質への影響がほとんどない方法で、資料にも人にも安全である。
文化財の害虫12種類(カツオブシムシ、オビカツオブシムシ。ヒラタコクヌストモドキ、ヒメマダラカツオブシムシ、キクイムシ、タバコシバンムシ、マダラシミ、アメリカカンザイシロアリ、コイカ、チャオビゴキブリ、チャバネゴキブリ、ワモンゴキブリ)の成虫、幼虫/若虫、卵に対して、どのぐらいの期間、無酸素下で生存し、その後に致死するかはタバコシバンムシが「指標」になる。
成虫、幼虫/若虫、卵のいずれでも無酸素下でタバコシバンムシがもっとも長く生存する。成虫は約120 時間、幼虫/若虫は約144時間、卵は約192時間。無酸素下でこの時間が経過すれば致死する。また、タバコシバンムシ以外の害虫の成虫、幼虫/若虫、卵は、これらの時間以下で致死する。したがって、封印して無酸素環境が形成されたと確認されてから10日間放置すれば、これらの害虫は駆除できることになる。
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