今日の工房 2018年 7月

週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。

2018年7月18日(水)紙力が著しく低下したものの薄葉紙での裏打ちは、噴霧器での糊さしと不織布の補助で。

酸化・酸性化により、あるいは水損やカビで紙が「老け」(ふけ=紙の繊維化)て、紙力が著しく低下した本紙を、不安なく取り扱える状態にするためには、裏打ちによる紙力強化が有効です。ただし、そうした資料は水分を含むとさらに脆くなり、直接本紙に刷毛を当てるのも困難な場合があります。こういう場合にはスプレーによる裏打ちを採用しています。

 

まず、薄めたデンプン糊を噴霧器に入れて準備をします。不織布の上に本紙を置き、その上に極薄の和紙(3.6 g/m2)を被せて、上から糊を均一に噴霧し、不織布をかぶせた上から刷毛で撫でて裏打ちをします。

 

この方法は、必要最小限の水分と糊で裏打ちができ、不織布越しで刷毛を使用するため、本紙を傷める心配がなく、安全に行えます。また、本紙と和紙の接着が面状ではなく、点状での接着のため、硬くならず柔らかな仕上がりとなります。

 

※和紙の上から糊を噴霧し本紙と接着させるので、使用する和紙が厚いと糊が本紙まで浸透しません。このため、使用する和紙は3.6 g/m2 程度の極薄紙を使用します。ここでは裏打ちを紹介していますが、文字や画像などがある面への「表打ち」としても使います。

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2018年7月12日(水) 本体をプルーフ加工し、使用後の汚れの拭き取りが楽な簡易ドライクリーニングボックスに。

お客様からの強いご要望に応えて、簡易ドライクリーニングボックスにプルーフ加工を施した製品を発売しました。これまでの紙製のボックス表面を、使用中も汚れにくく、使用後にも汚れを拭き取り易いように、フィルムで被覆したものです。

 

簡易ドライクリーニングボックスは、資料に付着した細かい埃やカビの残滓のクリーニングを、お客様自らが館内や書庫内で安全に行うことを目的に開発されました。空気清浄機を組み込んだボックス内で資料のクリーニングが可能になり、作業中の埃やカビの周辺への飛散や、作業者が吸い込むといった健康被害を防ぐことができます。発売以来、そのコスト・パフォーマンスの良さがお客様に好評で、全国の機関で導入され、当社のロングセラー商品になりました。また、この間、導入していただいたお客様からのご要望を受けてマイナーな改良を重ねてきました。

 

今回の改良品は、「ボックス自体をクリーニングし易くして欲しい」というご要望にお応えするものです。従来モデルは、使用中に落下した埃などを拭き取り易いようにボックスの底にプラスチック・ボードをはめ込んでいましたが、今回は、ボックス全体にプルーフ加工を施して防水機能を持たせ、作業中の濡れた布巾での拭き取りや、作業後のアルコールでの消毒にも対応しました。

 

また、天井を覆う透明アクリル板の角を丸くし、作業者はもちろん、資料を傷つけないような細かい改良も施しました。

 

ボックス内の作業スペース(幅550×奥行き350×高さ220ミリ)など、その他の仕様に変更はなく、これまで通りのご利用方法が可能です。
以上のような仕様変更に伴い、販売価格を改訂させて頂きました。新価格は「本体ボックス+空気清浄機」で52,000円(税抜き)です。また、従来品をお使いのお客様で、空気清浄機を除いた本体ボックスだけを欲しいという方にも、36,000円(税抜き)で対応いたします。梱包輸送費は別途、頂戴いたします。

 

なお、購入の前に試してみたいというお客様には、最大2週間の無償レンタルを行なっています。この場合、ご返送時の料金のみ、ご負担ください。詳細は電話かメールなどでお問い合わせください。

 

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2018年7月4日(水) 爽やかな暑中お見舞いの手ぬぐいができました。

今年の暑中お見舞い用の手ぬぐいができました。平年より早い梅雨明けから連日猛暑が続いておりますが、爽やかな海の風景とともに、みなさまへ少しでも涼をお届けできれば幸いです。

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