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今日の工房 2017年 9月
週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。
2017年9月20日(水)本紙の破れを修補するときの道具・材料とセッティング
本紙の破れを修補するとき、デンプン糊を和紙に塗布、もしくは本紙に塗布して和紙を当てて補強する。デンプン糊は接着力が非常に強いので、水で薄めて使用するぐらいがちょうど良いが、薄すぎると和紙が剥がれたり輪染みになったり、濃すぎると紙がこわばる原因になる。
糊を塗布する際は筆や刷毛を使用する。修補の範囲によって、細筆、平筆、小刷毛、糊刷毛を使い分ける。このほか、糊が手や道具、作業台など余計なところに付かないよう注意し、もし付いたときにはさっと拭き取れるよう、濡らした布巾を用意しておく。
修補に使う和紙は、本紙の厚みや色、補強の程度によって選択する。喰い裂きの和紙は毛羽の影が目立つこともあるので、あえて断ち切りの和紙を使用することもある。冊子や新聞などの紙資料は、最初から最後のページまで同じ箇所が破れていることがよくあるので、このように同じ破損を一度にたくさん修補するときには、断ち切りした短冊状の和紙をあらかじめ用意しておく。
最後に、修補した箇所が不均一な乾燥によってシワになったり、つっぱったりしないよう、不織布とろ紙、更に重石をのせてしっかり乾燥させることが、良い仕上がりのためのポイントとなる。
関連情報
今日の工房 2017年1月18日(水)修理に欠かせな道具・材料ーリーフキャスティング(漉き嵌め)で使用する竹簾
2017年9月14日(木)松竹大谷図書館、映画関連記事スクラップの保存等で新たなクラウドファンディング
公益財団法人松竹大谷図書館は「クラウドファンディング<第6弾>歌舞伎や映画、銀幕が伝えた記憶を宝箱で守る」として、46万点以上の資料を収める電動書架のメンテナンスと、約4,000冊もの映画製作当時の記事が貼り込まれた映画スクラップを保護する保存箱を作るプロジェクトのため支援金を募集しています。募集期間は9月5日(火)から10月25日(水)の50日間です。
松竹大谷図書館は、松竹株式会社の創立者の一人・故大谷竹次郎(1877~1969)が昭和30年(1955)に文化勲章を受章したのを記念して、昭和31年(1956)に設立した演劇と映画の専門図書館です。長年にわたり演劇・映画事業にたずさわってきた松竹株式会社が、収集・所蔵してきた資料を広く一般に公開し、研究者や愛好家の利用に供して、芸術文化の振興と、社会文化の向上発展に寄与することを目的として設立されました。
同館には、約300年前の浄瑠璃正本や、阿国歌舞伎の様子を伝える貴重な資料「かふきのさうし」(非公開)をはじめ、演劇(歌舞伎・文楽・新派・新劇・商業演劇を主に)、映画、日本舞踊、テレビ等に関する台本・文献・雑誌・写真・プログラム・ポスター等、46万点を超える資料が収蔵され、これまでにもクラウドファンディングを利用したアーカイブ事業を実施しています。
クラウドファンディング – Readyfor(レディーフォー)
プロジェクトの詳細はこちら↓
https://readyfor.jp/projects/ootanitoshokan6
2017年9月6日(水)映画の復元と保存ワークショップで「ノンフィルム資料の保存と修復」実習を行いました。
8月25日(金)〜27日(日)に「映画の復元と保存に関するワークショップ」実行委員会主催の『第12回映画の復元と保存に関するワークショップ』が行われ、初日の「ノンフィルム資料の保存と修復」東京国立近代美術館フィルムセンターと実行委員会の共催の実習を弊社で担当しました。「ノンフィルム資料」とは、映画に関連する雑誌、書籍、ポスター、チラシ等々を指します。
実習の前には、フィルムセンター所蔵資料の解説と、館内の収蔵庫、書庫、閲覧室を主任研究員の岡田氏をはじめスタッフの方々がご案内くださいました。アーカイブ的、網羅的、合理的といった信念のもと活動されている様子が伝わってくる見学会でした。
「ノンフィルム資料の保存と修復」実習では、国内外からご参加くださった20名とともに、破れた資料に対する和紙とでんぷん糊での修補や、小冊子の金属除去、綴じ直し、背表紙修補を行いました。その後の質疑応答でも、とても実務的な話題が多く、非常に充実した出講となりました。