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今日の工房 2015年 9月
週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。
2015年09月30日(水) カビや塵埃の処置に、飛散防止用のマスカーテープで作業場を隔離する
カビ被害が甚大な資料や大量の塵埃が発生する資料を取り扱う際は、飛散防止のため作業場を隔離する。空間を隔離するカーテンとして、養生テープとポリシートが一体化したマスカ―テープを使用した。作業場所を囲うように壁や天井に貼り付け、ポリシートを広げる。必要なスペースに合わせて設置することができ、作業後の処分も手間がかからない。
2015年09月16日(水) 日本刀の容器。複数を任意の位置で収納できるように工夫が。
日本刀の保存容器。刀掛けに飾る時のように、刃を上に向けて保管できる受け台を設けた。受け台は刀を先端と柄の2点で支えるよう、任意の位置で刀の長さや形状に合わせて設置ができる。1箱に複数の刀を納める構造にもできるため、拵えと白鞘をまとめて収納する場合にもお互いに干渉せずに保管できる。
2015年09月09日(水) 和装本の綴じ直しに使う絹の糸と布。処置前の本の印象を崩さないものを選ぶ
和装本の綴じ直しに使用する絹糸と角裂(かどぎれ)用の絹布。色や太さの異なるものを揃えている。綴じ糸や角裂は、表に出ていた部分が特に、経年劣化により退色しているものが多く、新規の材料で直すと本の印象が変わってしまうことがある。ご依頼主様と打合せの上、元の色や太さと見比べながら、処置前の本の印象を崩さないように材料を選び、綴じ直す。
2015年09月03日(木) 木箱からの移し替え—屏風を入れるスロット付き差し込み箱
東洋大学井上円了研究センター様所蔵の屏風(長辺1,740×短辺640×厚み110ミリ)の容器として、1箱につき屏風1隻を収納するスロット加工(差し込み箱)を2箱納めた。(以前の同大学様での屏風収納事例はコチラ)
使用素材の品質が不確かな木箱は、木材や接着剤から発生する酸性ガスにより収納した資料が汚染されることが分かっている。更に、相対湿度の変化によって箱が歪むことで蓋が外せなくなったり、割れが生じることがある。そのため、弊社では木箱からアーカイバル容器への移し替えを推奨している。また、今回は木材が虫の棲み家となり、収蔵庫全体への汚染も懸念されていた。
天地のスロット加工により、内側で屏風の描画面が箱に接触することでの擦れが生じず、出し入れが容易である。また、安全かつ容易な移動を可能とするために平紐を付けた。長期保存に適しているだけでなく、その後の展示や貸し出しなどの利用時のリスク低減にも配慮したアーカイバル容器になっている。