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今日の工房 2007年
週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。
2007年07月03日
本の背の天地に付けられるバンド(headband, tailband)は名前通り、綴じを強化するためのバンドだったが、やがて装飾的な意味が強くなり、絹糸等で編み込むかたちになった。現在は布切れになり、日本語では花布(はなぎれ)という。
2007年03月14日
2007年03月05日
コンサベーションでも容器の制作でも使う、いろいろな重さと形の重石。小さなものは資料補修時の抑えに、大きなものは容器の作成時の一時的な固定や、蒸気加湿した大きなポスター等のフラットニングに。写真右二つは市販の「漬け物石」。
2007年02月26日
特攻隊の若者が父母に当てた遺書。半世紀以上を経て、いま在る。破れや欠損部はエビデンス・ホウル(evidence hole)、すなわち状況と経時の証であり、涙の跡もそうだ。化学的な劣化を止め、分離しそうなところだけを繊維でブリッジして繋ぐ。
2007年02月20日
漢籍 7,600冊の綴じ直し。うち、タイトルなどの書誌事項が載った表紙の場合は、外糸の綴じ部(ヒンジ部)から書脳までを取り除き、薄葉紙(楮製)で袋折りを作り、これに収納し綴じ付ける。薄い紙を通して元のタイトルが見える。
2007年02月13日
背が赤い革で装幀された写真帳(アルバム)を直す。酸化・酸性劣化した背革は、活かせる部分を除いて、全体を和紙で治す。本体と表紙のヒンジ部を補強した後に、同系統の色染めをした厚めの和紙で背ごしらえをして元の革を貼り、保革用樹脂を塗り、磨く。
2007年02月06日
大型の保存容器を作る。現在では、ほとんどのパーツをCAD連動カッターで切り出すが、要所のパーツは押し切りでのカットのほうが良い場合がある。立ち上げ部や底板の補強、内壁の無酸・無アルカリ化の後に完成。巨大な羽毛布団が収納される。
2007年02月01日
虫損の激しい和書の紙葉の欠損部をリーフキャスティング(漉き填め)で補填する。溜め漉きと流し漉きとを組み合わせた独特の方法で、紙の繊維を欠損部に埋め込み、後々にも補填部が外れる心配のないキャスティングができた。
2007年01月25日
東京大学東洋文化研究所主催「第2回アジア古籍保全講演会」のメインスピーカーの周崇潤氏(中国国家図書館善本特蔵部図保組組長)が当社を訪れた。2時間たっぷり、中国の古籍や近現代資料の保存と修復についてお話をうかがうことができた。
2007年01月23日
東京大学東洋文化研究所主催「第2回アジア古籍保全講演会」が開催され、当社スタッフの「東洋文化研究所所蔵漢籍・中国書の劣化調査と補修」が報告された。170余名の出席者を迎え、中国北京図書館の周崇潤氏ほかの力のこもった話で、好評だった。