今日の工房 サブメニュー
今日の工房 2006年
週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。
2006年12月28日
2006年12月22日
清朝中期の、棉紙に摺られた漢籍で内容は地誌。地図を見開いて継ぎ目無く見ることができるように、書葉を工夫している。普通は一枚の書葉の紙の真ん中を一回折り込み、それを束にして冊に綴じるが、この本は地図の書葉が蛇腹の構造になっている。
2006年12月15日
極度に脆弱化した絹絵の上に積もったホコリを除く。細かい目の柔らかい網で覆い、重石を載せて固定し、HEPA準拠の電気掃除機のノズルの先にガーゼを被せて、弱い吸引力で少しずつホコリを吸い込んでゆく。
2006年12月05日
布帙を造る。既製の布帙(左写真)は、帙の芯材に使われている黄ボール紙と、接着剤からの強い酸の移行により、接触していた資料の表紙が茶色に変色してしまった。当社の布帙は、芯材、布、接着剤–等々、全ての材料の品質が確認済みである。
2006年11月27日
乾式のクリーニング用の各種の材料の、紙への影響と残留を観察する。左からダストクロス、ケミカル・スポンジ、固形消しゴム、粉消しゴム(円筒容器内の)、練り消しゴム。色材は硬度の異なる鉛筆、対象紙はろ紙と古い新聞紙。
2006年11月17日
ファイリングされた作家の原稿を綴じ直す。ホッチキスやピンなどの錆びやすい留め具を外して、ゼムクリップで固定しておき、可能ならば元穴を活かし、細い紙縒を通して結ぶ。糊を指して、クリップを外し、コブを平らにつぶして完成。
2006年11月09日
既設のスチール棚に填め込み、前蓋を開閉するだけで、収納した長封筒サイズの文書を取り出せるアーカイバル容器を–というお客様のご注文に応える。内部に二段の棚をつくり、それぞれに仕切を入れたことで、ゆがまない丈夫な箱ができた。
2006年11月02日
酸化劣化と酸性劣化が複合して物理的強度が極限まで低下した絹本。通常の水処理を行うと輪染み(tide-line)が発生するために、薄い楮紙を裏側から微少点接着法で貼付け、破断部を治し、無酸+無アルカリ台紙とガス吸着紙に固定する。
2006年10月18日
厚手の楮紙の両面に木版印刷された和書を治す。粘葉装の糊の付いた部分を中心に虫喰いが著しい。欠損部を埋め、なおかつテキスト部が隠れてしまわないように、繊維の量を違えた漉き填め処置を根気よく繰り返してゆく。
2006年10月10日
シアノ・タイプ(サイアノ・タイプとも)の青図を治す。虫やカビ、塵埃による汚れをクリーニングして広げ、破れや欠損部をファイバー・ブリッジ法で留め、アルカリを含まない台紙+ガス吸着紙に固定して、最後にエンキャプシュレーション処置で完成。
2006年10月02日
2006年09月25日
吸い込み(サクション)型のリーフキャスティング(漉き填め)の実用化を進めている。従来法の溜め漉きに、流し漉きを組み合わせたような独特のシステムで、手の技に頼らねばならないところが多く、そこが面白さにもなっている。 (続く)
2006年09月12日
新人向けの洋装製本のレッスン。現在の「くるみ製本」から遡ってゆき、四世紀ごろのコプト製本(白い表紙)と、そのバリエーションとしてのエチオピアン製本(板の表紙)へ。後者は2本の糸、糸の両端の針(4本)を使う。日本の綴葉装とほぼ同じ。
2006年09月04日
写真を貼り付けたアルバムへの保存手当て。デジタル処置後、酸性の台紙から写真を外し、劣化ガスを吸着する新しい台紙へ、コーナー留めで移し替える。使用材料は全てPAT(写真活性度試験)をクリア。全体をエンキャプシュレーションして完成。
2006年08月22日
レプリカ的には治さないが、レプリカそのものは作る。長期展示用の洋書のレプリカで、右がホンモノ、左がニセモノ。表紙の平(ひら)の模様や、背クロス、金箔押し、ラベルと、展示用には充分なものが、コロタイプの五分の一程度のコストでできる。
2006年08月12日
彩色された古地図を治す。元の貼り合わせた箇所で全体を分割し、養生をして弱アルカリ水で洗浄(フロート・ウォッシング)をする。経時劣化による着色酸性物が洗い流された地図は破れ等が補修され、ロール・エンキャプシュレーションされる。
2006年08月08日
2006年07月31日
出土品の繊維製品資料を入れる容器。繊維の染料等に影響を与えないように、台差し型の内箱の内壁は3F(無酸・無アルカリ・無サイズ)ボードで覆う。この箱を5つ重ねたものをまとめて収納できる箱に入れて完成。
2006年07月25日
昭和初期からのスクラップ・ブックへの保存修復処置。マイクロ化・デジタル化の前に、撮影がしやすいように破れを治したり、開きやすいように解体処置を行う。脱酸性化の後に復元し、保存容器に収納する。