今日の工房 

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2021年11月11日(木)アーカイバルボードで作品展示用の斜台を製作しました。

美術館・博物館の展示ケース内で使われる作品置台や展示台は、木製の下地材の上にクロスを貼ったものが多く、用いている材料から発生する微粒子や揮発性ガスが文化財を傷めることがわかっています。また、展示ケースは温湿度の安定や大気汚染物質等の流入を防ぐために高気密設計となっており、これはー方で、展示物に影響を与えるガスの残留と改善の難しさの要因にもなっています。

 

こうした汚染ガスは、枯らし換気等による軽減、展示ケースにも使用可能なガス吸着材・ガス吸着シートを使用した、対症療法的な対応が行われていますが、確実な効果が必ずしも担保されるものではありません。そのため、展示ケースの内装材、展示台の素材には、化学物質含有量の低い素材を選び、また十分な枯らしをおこなったうえで、施工、制作することが望ましいとされています。

 

今回製作した展示台に使用した材料は、資料に直接触れても影響の出ない素材でPhotographic Activity Tests(PAT):ISO18916:2007 写真保存用包材のための写真活性度試験に合格したものを使用しています。アーカイバルボードの断面が露出しない作りで正面から見た時の鑑賞の妨げにならない、斜面に対して直角の「かえし」を取り付け展示物に負担がかからないようにする、内部を補強した堅牢な作りで大きな展示台でも安定して展示物を載せられるなど、デザイン面でも構造面でも工夫しました。アーカイバルボードを使用しているためオフガスや汚染物質の影響はなく、また、展示する資料の大きさや形態に合わせて、斜台角度や高さを自由設計できる点もメリットの一つです。

 

 

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