今日の工房 

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2015年11月18日(水) クリーニング・ポケット—水で紙資料を安全に洗う。

紙資料は洗浄・脱酸といった保存処置の過程で、一枚ものの資料を水溶液に浸すことがある。汚れや水溶性の酸性物を紙から除去する必須の工程である。そのため、水中では物理的に傷みやすい紙資料を安全に取り扱える方法が必要となる。海外では資料を水溶液に浸す際、どのように取り扱っているのか。詳しく解説されているいくつかの例をあげて、当社の方法と比較してみる。

 

○British Libraryの2013年8月の記事 没食子インクで書かれた紙資料の洗浄

 

○Smithsonian National Postal Museum の紙資料洗浄の動画

 

○インドのコンサバター Namita Jaspalさんによる紙資料洗浄の動画

 

いずれも、水でぬれた資料に破れや歪みが生じる危険を防ぐため、ポリエステルフィルムや不織布、透明アクリル板等でサポートにしている。

 

当社では洗浄の際、独自に開発し特許を取得しているクリーニング・ポケットを使用している 。

 

ポリエステルフィルムと水を通しやすい比較的目の粗い不織布に資料を挟み、四辺を超音波溶着し封印する。水溶液の通り道として四辺を小さくカットする。

 

上記の海外の洗浄方法と同じく、ポリエステルフィルムが全体のサポートになっているため、水中で資料を動かしたり、持ち上げたりしても安全である。また、四辺を溶着することによって水の中で資料が泳いでむき出しになる心配がなく、安心して取り扱うことができる。さらに、資料は不織布で挟まれているので、ポケットに入れたまま乾燥させても、資料が互いに張り付く心配がない。

 

紙が乾いて強度を取り戻すまで、一貫してポケットに入れたまま、安全に取り扱うことができる。

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